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喫煙・歯周病はリスクになる?インプラント手術前に生活習慣を見直す理由|さいたま市北区宮原の歯医者・歯科で審美インプラント治療|関口デンタルオフィス埼玉

喫煙・歯周病はリスクになる?インプラント手術前に生活習慣を見直す理由

目次

 

「自分はインプラント治療を受けられる?」生活習慣に不安をお持ちの方へ

喫煙歴が長いけど大丈夫?インプラントへの憧れと不安

失った歯を補うための優れた選択肢としてインプラント治療を検討したい。でも、長年の喫煙習慣があるから自分には無理かもしれない──。そうした憧れと不安の狭間で、一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。確かに、喫煙がインプラント治療の成功率に影響を及ぼすリスク因子であることは、多くの研究で指摘されている事実です。しかし、「喫煙者だから絶対に治療を受けられない」と決まっているわけではありません。大切なのは、術前にご自身の状況が治療にどのような影響を与える可能性があるのかを正しく理解し、歯科医師と共に対策を立てることです。まずは自己判断で諦めてしまう前に、専門家による客観的な診断とカウンセリングを受けることが重要です。

 

歯周病で歯を失ったのに、またインプラントなんてできるの?

「そもそも歯周病が原因で歯を失ってしまったのに、同じ口の中にインプラントを入れても、また同じようにダメになってしまうのではないか」というご不安は、非常に的を射た、もっともな懸念です。結論から言えば、歯周病で歯を失った方でもインプラント治療を受けることは可能です。ただし、それには原則として不可欠な前提があります。それは、術前に、現在お口の中に存在する歯周病を十分に治療し、よくコントロールされた状態にすることです。活動中の歯周病が存在するお口は、いわば「汚染された土壌」です。そこに新しい苗木を植えても、健全に育つことはありません。まずは土壌改良、つまり歯周病治療を完了させることが、インプラント治療の成功に向けた第一歩となります。

 

・治療の成功率を左右する、あなた自身の「お口の環境」

インプラント治療は、単に人工の歯を顎の骨に埋め込むだけの外科手術ではありません。その治療が長期的に成功するかどうかは、喫煙や歯周病の既往歴といった個別の問題だけでなく、患者様ご自身の「お口の環境」全体に大きく左右されます。お口の環境とは、残っている歯や歯ぐきの健康状態、顎の骨の量と質、そして何よりも毎日のセルフケアの質や、治療へのモチベーションを含めた総合的な状態を指します。歯科医師は術前にこれらの環境を精密に評価し、成功率を高めるための最善のプランを考えます。つまり、治療の成否は歯科医師の技術だけで決まるのではなく、患者様ご自身がお口の環境づくりに主体的に関わることが不可欠なのです。

 

なぜ成功率が変わる?インプラント治療の仕組みと成功の鍵

骨と結合する「オッセオインテグレーション」とは

インプラント治療がなぜこれほどまでに普及したのか、その成功の鍵は「オッセオインテグレーション」という現象にあります。これは、チタンという金属でできたインプラント体(人工歯根)の表面に、顎の骨が顕微鏡レベルで直接、強固に結合することを指します。まるで自分の体の一部として認識されるかのように骨と一体化するため、天然の歯の根と同じように、噛む力をしっかりと支えることができるのです。このオッセオインテグレーションが十分に得られるかどうかは、インプラントの長期的な安定性を決める最も重要な要素です。そして、この結合を成功させるためには、健康な骨と良好な血流、そして感染のない清潔な術前のお口の環境が不可欠となります。

 

人工物だからと安心は禁物、インプラントの弱点

インプラントは人工物なので、天然の歯のように虫歯になることはありません。しかし、だからといって「一生メンテナンスフリー」というわけでは決してありません。インプラントには、天然歯にはない弱点が存在します。それは、感染に対する防御力の弱さです。天然歯の周りには「歯根膜」という血管や神経に富んだクッションのような組織があり、細菌の侵入に対する強力なバリアとして機能しています。一方、インプラントには歯根膜がないため、天然歯と比べて組織構造が異なり、細菌に対する防御が弱くなりやすいのです。そのため、一度歯周病菌のような細菌がインプラントの周りに感染を起こすと、天然歯の歯周病よりも早く進むことがあり、骨の破壊が急速に進んでしまう傾向があります。

 

成功率90%以上、その数字を支える術前の徹底したリスク管理

現代のインプラント治療は、10年で約90%前後の生存率とする報告もありますが、条件や評価方法により数値は変わります。しかし、この高い成功率は、誰でも無条件に得られるものではありません。この数字は、術前に患者様一人ひとりのお口の状態や全身状態を精査し、考えられるリスクを徹底的に管理・排除するというプロセスによって支えられています。例えば、インプラントの成功を阻害する可能性のある喫煙の習慣や、コントロールされていない歯周病といったリスク因子を事前に評価し、必要な対策を講じることが不可欠です。つまり、治療の成否は手術そのものだけでなく、この丁寧な術前のリスク管理が結果に大きく影響します。

 

インプラントも歯周病になる?「インプラント周囲炎」という病気

天然歯の歯周病との違い、進行が早く気づきにくい恐怖

インプラントはチタン製なので虫歯にはなりませんが、歯周病と非常によく似た「インプラント周囲炎」という病気にかかるリスクがあります。これは、インプラントの周りの歯ぐきや骨が、細菌感染によって炎症を起こし、破壊されていく病気です。天然歯の歯周病との大きな違いは、その進行速度と気づきにくさにあります。インプラント周囲炎は、初期段階では出血や痛みといった自覚症状がほとんどなく、静かに進行します。そして一度発症すると、天然歯の歯周病よりも進行が早いことが多く、気づいた時には手遅れになっているケースも少なくありません。だからこそ、術前のリスク評価と、治療後の定期的なメンテナンスが極めて重要になるのです。

 

なぜインプラントは細菌に弱いのか?体の防御機構の差

インプラントが細菌感染に弱い理由は、天然の歯と体の防御メカニズムが異なるためです。天然歯の根の周りには、「歯根膜」という薄い膜状の組織があります。この歯根膜には豊富な血管が通っており、細菌が侵入しようとすると、血液を通じて素早く免疫細胞を送り込み、感染から歯を守る強力なバリアとして機能します。一方、インプラントにはこの歯根膜が存在しません。骨と直接結合しているため、周囲の血流が乏しく、細菌に対する防御機構が弱いのです。そのため、喫煙やコントロールされていない歯周病などによってお口の衛生状態が悪化すると、細菌の侵入を許しやすく、一度感染が成立すると炎症が骨まで一気に広がりやすいという弱点を持っています。

 

インプラント周囲炎の末路、最悪の場合は脱落も

インプラント周囲炎を治療せずに放置すると、インプラントを支えている周りの骨は静かに、しかし着実に溶かされていきます。骨という土台を失ったインプラントは、徐々にぐらつき始め、最終的には天然の歯が抜けるのと同じように、その機能を維持できなくなります。一度汚染されてしまったインプラントの表面に、再び骨を結合させる(再オッセオインテグレーションさせる)ことは非常に困難です。そのため、重度に進行したインプラント周囲炎の治療は極めて難しく、最悪の場合、せっかく入れたインプラントを摘出しなければならなくなったり、インプラントを失う(除去が必要になる)ことがあります。こうした事態を避けるために、術前の徹底した歯周病管理が不可欠なのです。

 

最大のリスク因子「喫煙」がインプラント治療に与える影響

血流悪化が招く、骨との結合(オッセオインテグレーション)阻害

喫煙がインプラント治療に与える最も深刻な影響の一つが、成功の鍵である「オッセオインテグレーション」を直接的に妨げる点です。タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、特に歯ぐきのような末端の毛細血管の血流を著しく悪化させます。また、一酸化炭素は血液中の酸素運搬能力を低下させます。インプラント体が顎の骨としっかりと結合するためには、豊富な血液によって十分な酸素や栄養素、そして骨を作る細胞が届けられる必要があります。喫煙は、この生命線とも言える血流を滞らせることで、骨の治癒プロセスを阻害し、最悪の場合、インプラントと骨が結合しないという初期失敗のリスクを高めることが報告されています。

 

免疫機能の低下と、インプラント周囲炎の重症化リスク

喫煙は、お口の中の免疫機能を低下させ、インプラントの長期的な安定を脅かす「インプラント周囲炎」のリスクを高めます。タバコの有害物質は、細菌と戦う白血球の働きを鈍らせ、感染に対する体の抵抗力を弱めてしまいます。そのため、喫煙者は非喫煙者に比べてインプラント周囲炎を発症しやすく、一度発症すると進行が早く重症化しやすい傾向にあります。さらに厄介なのは、喫煙による血行不良が、炎症のサインである歯ぐきの出血を目立たなくさせてしまう「マスキング効果」です。これにより、病気の発見が遅れ、気づいた時には手遅れになっているという危険性も高まります。これは、術前に歯周病のリスクを抱える方にとって特に注意すべき点です。

 

傷の治りが遅くなる?術後の感染トラブルと喫煙の関係

インプラントを埋め込む手術は、歯ぐきを切開し、骨に穴を開ける外科処置です。この手術の傷がスムーズに治ることは、治療の成功に不可欠です。しかし、喫煙習慣は、この「創傷治癒」のプロセスを大きく妨げます。前述の通り、喫煙によって引き起こされる血行不良と酸素不足は、傷を治すために必要な細胞の働きを鈍らせ、組織の再生を遅らせます。傷の治りが遅いということは、それだけ外部から細菌が侵入しやすい無防備な期間が長くなることを意味します。その結果、術後の感染や痛みが長引くといったトラブルのリスクが高まります。術前からの禁煙は、こうした合併症を予防し、安全で確実なインプラント治療を実現するための重要なステップなのです。

 

もう一つの重要課題「歯周病」。術前に治療が必要な理由

「汚染された畑」に苗は植えられない、お口の中の環境整備

インプラント治療を成功させるための大原則は、清潔で健康な土台(顎の骨と歯ぐき)に埋め込むことです。活動中の歯周病が存在するお口は、いわば細菌に「汚染された畑」のようなものです。どんなに優れた苗木(インプラント)を植えても、土壌が悪ければ根付かずに枯れてしまいます。同様に、お口の中に歯周病菌が多数存在する状態でインプラント手術を行えば、手術した傷口から細菌が侵入し、感染を起こすリスクが非常に高まります。術前の歯周病治療は、この畑を徹底的に浄化し、苗木が健全に育つための土壌を整える「環境整備」の作業であり、安全なインプラント治療に不可欠なステップなのです。

<h4・歯周病菌がインプラントに感染、術後トラブルの火種に

お口の中に治療していない歯周病が残っていると、それはインプラントにとって常に脅威となる「火種」を抱えているのと同じ状態です。インプラントの周りで起こるインプラント周囲炎の原因菌は、天然歯の歯周病を引き起こす細菌とほぼ同じです。残っている歯の深い歯周ポケットは、これらの細菌の巨大な貯蔵庫(リザーバー)となります。手術後はもちろん、将来にわたって、このリザーバーから細菌が唾液を介してインプラントの周りに供給され続け、感染のリスクを常に高めます。特に喫煙習慣のある方は免疫力が低下しているため、このリスクはさらに増大します。術前にこの火種を可能な限り取り除き、再発を抑えることが、インプラントを長持ちさせるための重要な鍵となります。

 

歯周病治療のゴール、安定した歯ぐきの状態とは

術前に行う歯周病治療のゴールは、単に歯石を取って終わりではありません。「お口全体の炎症がコントロールされ、安定した状態」を達成し、それを患者様自身が維持できるようになることが目標です。具体的には、①歯周ポケットの深さが4mm程度以下の浅い状態に改善していること、②歯磨きや検査の際に②出血が少ない状態、③患者様ご自身による日々のプラークコントロールが非常に高いレベルで実践できていること、などが挙げられます。
歯科医師はこれらの基準を基に、インプラント手術に進んでも安全な状態かどうかを総合的に判断します。この安定した状態を得るためには時間と努力が必要ですが、それこそがインプラント治療の成功を盤石にするための最も確実な準備なのです。

 

リスクがあっても諦めないで。インプラント治療の可能性と条件

「禁煙」はインプラント治療成功のための絶対条件か

喫煙がインプラント治療に悪影響を及ぼすことは事実ですが、「喫煙者は絶対に治療を受けられない」というわけではありません。ただし、多くの歯科医院では、治療の安全性を高めるために一定期間の禁煙を治療の条件としています。特に、手術の数週間前から、インプラントと骨が結合するまでの数ヶ月間は、治療の成否を分ける極めて重要な時期です。この期間だけでも禁煙することで、術後の感染リスクや治癒不全のリスクを大幅に下げることができます。もちろん、インプラントを長持ちさせるためには、治療後も禁煙を継続することが最も理想的です。ご自身の喫煙習慣について正直に歯科医師に伝え、現実的な目標と計画を一緒に立てることが大切です。

 

歯周病のコントロール、術前から始まる歯科医院との二人三脚

歯周病で歯を失った方にとって、術前の歯周病治療は避けては通れない道です。このプロセスは、歯科医師や歯科衛生士と患者様とが協力してゴールを目指す「二人三脚」と言えます。歯科医院では、専門的な器具を用いて歯周ポケットの奥深くの汚れを徹底的に除去し、炎症の原因を取り除きます。一方で、患者様には、指導された正しいブラッシング方法を習得し、毎日のセルフケアでお口の中を清潔に保つ努力が求められます。この術前の治療期間は、インプラント治療に進むための準備であると同時に、患者様が治療後も良好な状態を維持できるかどうかを見極めるための大切な試金石の期間でもあるのです。

 

歯科医師による総合的なリスク評価と治療計画

最終的にインプラント治療が可能かどうかは、喫煙や歯周病といった個別のリスクだけでなく、歯科医師による総合的な評価によって判断されます。術前のカウンセリングと精密検査では、お口の中の状態(骨の量や質、歯ぐきの状態など)はもちろんのこと、糖尿病などの全身疾患の有無、そして患者様の治療に対するモチベーションや生活習慣まで、あらゆる角度からリスクを評価します。その上で、個々の患者様にとって最も安全で成功率の高い治療計画を立案します。場合によっては、リスクを考慮してインプラント以外の治療法(ブリッジや入れ歯など)を提案することもあります。まずはご自身の状況を専門家に見てもらい、最適な解決策を一緒に探すことが何よりも重要です。

 

喫煙・歯周病だけじゃない。術前に確認すべき全身の健康状態

血糖コントロールが鍵、「糖尿病」との密接な関係

糖尿病をお持ちの方がインプラント治療を検討する場合、最も重要なのは血糖値が良好にコントロールされているかという点です。血糖値が高い状態が続くと、体の免疫機能が低下して感染しやすくなったり、傷の治りが遅くなったりする傾向があります。これは術後のインプラントと骨の結合を妨げる大きなリスクとなります。また、糖尿病は歯周病を悪化させやすく、逆に歯周病が血糖コントロールを乱すという双方向の悪影響があることも知られています。したがって、術前には、かかりつけ医と連携し、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)などの数値を基に、お体の状態が外科処置に対して安全であることを確認することが不可欠です。コントロールさえ良好であれば、多くの場合インプラント治療は可能です。

 

骨の代謝に影響する「骨粗しょう症」と治療薬

骨粗しょう症と診断されても、それ自体が直ちにインプラント治療の妨げになるわけではありません。より注意が必要なのは、その治療のために使用されているお薬です。特に「ビスフォスフォネート系薬剤(BP製剤)」や「デノスマブ(商品名:プラリアなど)」といったお薬を長期間使用している場合、インプラント手術などの外科処置をきっかけに、稀に顎の骨が壊死(えし)してしまう「薬剤関連顎骨壊死」という重篤な副作用のリスクが報告されています。そのため、術前の問診では、骨粗しょう症の治療歴について必ず正確にお伝えいただく必要があります。歯科医師は、処方している医師と連携を取り、安全に治療を進めるための計画を慎重に検討します。

 

その他の注意すべき持病と、常用しているお薬について

安全なインプラント手術を行うためには、喫煙や歯周病、糖尿病、骨粗しょう症以外にも、申告していただくべき健康状態があります。例えば、高血圧や心臓病などの循環器系疾患、あるいは血液をサラサラにするお薬(抗血栓薬)を服用されている場合、手術中の出血リスク管理のために特別な配慮が必要です。また、その他にも常用しているお薬やサプリメントがあれば、術前にすべてお伝えください。「お薬手帳」をお持ちの方は、カウンセリングの際に必ずご持参いただくようお願いしています。一見、歯科治療とは関係ないように思える持病やお薬が、手術の安全性に大きく影響することがあります。正確な情報共有が、安全な治療への第一歩です。

 

成功率を高めるために。信頼できる歯科医院の選び方

CT撮影による精密な骨の診査・シミュレーション

安全で確実なインプラント治療の実現には、術前の精密な診査診断が不可欠です。特に、顎の骨の状態を三次元的に詳細に把握できる「歯科用CT」による検査は、多くの症例で推奨される検査です。CT画像を用いることで、従来のレントゲンでは分からなかった骨の厚みや神経の位置の把握に役立ちます。さらに、撮影したデータを基に、コンピュータ上でインプラントを埋め込む位置や角度の事前に位置や角度を確認することで、手術の安全性を高め、より予知性の高い治療計画を立案することが可能になります。こうした先進的な設備を導入し、精密な診査を徹底しているかは、医院の治療レベルを判断する上での重要な指標です。

 

喫煙や歯周病のリスクを丁寧に説明してくれるか

信頼できる歯科医院は、インプラント治療のメリットだけでなく、潜在的なリスクについても時間をかけて丁寧に説明します。特に、患者様が喫煙の習慣をお持ちであったり、歯周病の既往歴があったりする場合には、それらが治療にどのような影響を及ぼすのか、なぜリスクとなるのかを、科学的根拠に基づいて分かりやすく伝える姿勢が求められます。ただ「やめた方が良い」と言うだけでなく、具体的な対策(禁煙のタイミングや術前の歯周病治療の必要性など)を一緒に考え、患者様が納得して治療に臨めるようサポートしてくれることが重要です。良いことばかりを強調するのではなく、誠実にリスクと向き合ってくれるかどうかが、歯科医師との信頼関係を築く第一歩です。

 

術後のメンテナンスプログラムの重要性を伝えているか

インプラント治療は、手術をして終わりではありません。そのインプラントを長期間にわたって健康な状態で維持していくためには、治療後の定期的なメンテナンスが不可欠です。特に、歯周病のリスクが高い方や喫煙を続ける方の場合、インプラント周囲炎の予防と早期発見が極めて重要となります。信頼できる歯科医院は、術前のカウンセリングの段階から、このメンテナンスの重要性をきちんと説明し、治療後の具体的な通院ペースやケアの内容について明確なプログラムを提示します。手術の成功だけでなく、その後の長期的な安定までを見据えたサポート体制が整っているかどうかも、安心して治療を任せられる医院を選ぶための大切なポイントです。

 

インプラントと生活習慣に関するよくあるご質問

Q. 禁煙はいつからいつまで必要ですか?電子タバコなら大丈夫?

A. 禁煙をお願いする期間は、歯科医院の方針や患者様のお口の状態によって異なりますが、一般的には術前の医院の方針や全身・口腔の状態により異なりますが、例として術前数週間〜1〜2ヶ月、術後数ヶ月の禁煙を勧めることがあります。この期間は、治療の成否を左右する最も重要な時期だからです。また、「電子タバコや加熱式タバコなら大丈夫ですか?」というご質問もよく受けます。これらの製品はタールを含まないものもありますが、多くは血流を悪化させるニコチンを含んでいます。インプラント治療における喫煙の最大のリスクは、このニコチンによる治癒能力の低下です。したがって、紙巻きタバコと同様に、電子タバコなども指定された期間は控えていただく必要があります。

 

Q. 治療後に歯周病が再発したらインプラントはダメになりますか?

A. インプラント治療後、お口のケアが不十分だと、残っているご自身の歯の歯周病が再発・進行する可能性はあります。そして、それはインプラント周囲炎のリスクを高める重大な要因となります。しかし、再発したら即インプラントがダメになる、というわけではありません。そのために最も重要なのが、治療後に必ず行われる「定期メンテナンス」です。定期メンテナンスに通っていただくことで、歯周病やインプラント周囲炎の兆候をごく初期の段階で発見し、すぐに対処することができます。早期発見であれば、プロによるクリーニングやセルフケアの改善指導などで、多くの場合インプラントを守ることが可能です。

 

Q. 飲酒や食事で術前・術後に気をつけることはありますか?

A. はい、いくつか注意点があります。まず飲酒ですが、術後は特に注意が必要です。アルコールは血行を促進するため、手術した部分の出血や腫れを助長する可能性があります。また、処方された抗生物質などの効果を弱めてしまうこともありますので、目安として抜糸までの約1〜2週間は禁酒が望ましいとされています。お食事に関しては、術後数日間は、手術部位に負担をかけないよう、お粥やスープ、ヨーグルトといった柔らかいものを中心にお召し上がりください。インプラントを埋め込んだ部分で直接噛むことは避け、香辛料などの刺激物や、硬い食べ物、熱すぎるものも傷の治りを妨げる可能性があるので控えるようにしましょう。

 

Q. 持病(糖尿病など)があっても治療は可能ですか?

A. 持病をお持ちだからといって、必ずしもインプラント治療が受けられないわけではありません。最も大切なのは、その病状が「安定してコントロールされているか」という点です。例えば糖尿病の場合、血糖値が良好に管理されていれば(HbA1cの数値を参考にします)、多くの場合で治療は可能です。ただし、術前には必ずかかりつけ医と相談し、外科処置を行っても問題ないかを確認する必要があります。高血圧や骨粗しょう症、心臓疾患など、その他のお薬を服用中のご病気に関しても同様です。安全な治療のため、初診のカウンセリングでは、お体の状態やお薬手帳の内容を正確に歯科医師にお伝えください。

 

まとめ:術前の見直しが、インプラントの寿命を決める

インプラントはゴールではなく、健康な未来へのスタート

インプラントの最終的な被せ物が入った日は、治療の「ゴール」だと思われるかもしれません。しかし、私たちの考えは少し違います。その日は、あなたが失った歯の機能と自信を取り戻し、これからの人生をより豊かに過ごすための「スタート」の日なのです。そして、その長い道のりを成功に導くために最も重要なのが、術前の準備です。喫煙習慣の見直しや、徹底した歯周病の管理など、スタートラインに立つ前の準備が整っているほど、その後のインプラントとのバランスが安定しやすくなります。手術の成功は、輝かしい未来への第一歩に過ぎないのです。

 

生活習慣の改善は、あなた自身ができる有効な自己投資

インプラント治療は、決して少なくない時間と費用がかかります。この大切な治療を成功させ、長持ちさせるために、患者様ご自身ができる最高の「投資」、それが生活習慣の改善です。例えば、術前に禁煙に取り組むこと、歯周病をコントロールするために日々のセルフケアの質を高めること。これらの努力は、インプラントの成功率を高めるだけでなく、残っている他の歯の健康を守り、さらには全身の健康増進にも繋がります。歯科医師は専門家として最善の治療を提供しますが、その治療効果を最大化し、長期的な成功を確実なものにするのは、患者様ご自身の前向きな取り組みなのです。

 

不安を解消し、納得して治療に臨むためのカウンセリング

この記事では、喫煙や歯周病など、インプラント治療における様々なリスクについてご説明しました。多くの情報に触れ、かえって不安が大きくなった方もいらっしゃるかもしれません。その不安を解消し、あなたが心から納得して治療に臨むために存在するのが、術前のカウンセリングです。あなたの生活習慣、健康状態、治療への希望や不安など、どんな些細なことでも私たち専門家にお聞かせください。一人ひとりの状況に合わせた、あなたに合った治療計画をご提案し、すべての疑問にお答えします。安心して未来へのスタートを切るために、まずは「話す」ことから始めてみませんか。

 

 

 

監修:関口デンタルオフィス

住所:埼玉県さいたま市北区宮原町4-134-24

電話番号:048-652-1182

*監修者

関口デンタルオフィス

院長 関口 亮

経歴

・2008年 日本大学歯学部卒業
日本大学歯学部臨床研修部入局

・2009年 日本大学歯学部補綴学第一講座入局
専修医
顎関節症科兼任

・2014年 同医局退局
関口デンタルオフィス開院

所属学会

日本補綴歯科学会

日本口腔インプラント学会

*スタディークラブ

JSCT(Jiads Study Club Tokyo)

CIDアクティブメンバー(Center of Implant Dentistry)

 

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