「昔入れた銀歯が黒ずんできた」そのまま放置していませんか?今こそセラミックに替えるべき理由
- 2025年10月31日
- 審美歯科
目次
笑うと見える「銀歯の黒ずみ」、気になっていませんか?
・鏡を見るたび、口元の黒ずみが目につく
笑顔になった瞬間、ふと目に入る奥歯の銀歯。それが黒ずんで見えると、人前で思い切り笑うことをためらってしまう方もいらっしゃるでしょう。ご自身が気にされるのは当然のことです。この黒ずみは、銀歯そのものが酸化(錆び)して変色している場合と、溶け出した金属イオンが歯ぐきに沈着してしまった「メタルタトゥー」と呼ばれる状態の可能性があります。特に後者は、銀歯をやりかえても歯ぐきの色が元に戻りにくい場合があります。こうした見た目のお悩み(審美的な問題)は、歯科医院での審美治療で改善が期待できます。金属を一切使わないセラミック治療なら、天然歯のような透明感のある白さを取り戻すことが可能です。口元の黒ずみは、お顔全体の印象にも影響しますので、気になる場合は一度ご相談ください。
・この黒ずみは汚れ?それとも虫歯の再発?
銀歯の周囲が黒ずんで見える時、「これは単なる汚れや金属の変色なのか、それとも中で虫歯が再発しているのか」とご不安に思われるのは当然です。確かに、保険診療で使われる銀歯(金銀パラジウム合金など)は、お口の中という過酷な環境で時間と共に酸化・硫化し、黒っぽく変色します。しかし、より深刻なのは、銀歯とご自身の歯との「境目」です。治療時に使用した接着剤(セメント)は唾液で少しずつ溶ける性質があり、数年経つと隙間ができやすくなります。その隙間から虫歯菌が侵入し、内部で虫歯が再発(二次カリエス)している可能性も否定できません。この場合、黒ずみはそのサインであることもあります。ご自身での判断は難しいため、歯科医師によるレントゲン検査などを含めた精密な診査・診断が不可欠です。
・「いつ入れたか覚えていない」古い銀歯への漠然とした不安
「学生時代に治療したきり」「いつ入れたか覚えていない」という古い銀歯は、長期間お口の中で機能している分、目に見えないリスクを抱えている可能性があります。銀歯自体も、それを固定しているセメントも、永久に機能し続けるものではありません。長年の使用や噛む力による負荷で、金属がわずかに変形したり、セメントが溶け出して歯との間に隙間が生まれたりします。この隙間は虫歯が再発する主な原因となります。また、古い銀歯に使われる金属が、金属アレルギーの原因となる可能性も指摘されています。その「漠然とした不安」は、こうした「黒ずみ」として現れた劣化のサインや、内部での虫歯の再発リスクに起因しているかもしれません。現在の状態を正確に把握し、機能的にも審美的にも優れたセラミックへのやりかえ(審美治療)を検討する良い機会と言えます。
なぜ銀歯は黒ずむのか?その主な原因
・原因①:金属の「錆び」と「変色」(酸化・硫化)
保険診療で一般的に使用される銀歯(金銀パラジウム合金など)は、銀やパラジウム、銅などの金属が含まれています。これらの金属は、お口の中という唾液や温度変化、様々な食品に常にさらされる過酷な環境下で、時間とともに化学変化を起こします。具体的には、酸素と結びついて「酸化(いわゆる錆び)」したり、唾液や食物に含まれる硫黄成分と反応して「硫化」したりします。これは、銀製のアクセサリーが空気中で黒ずむのと同じ原理です。この化学変化が、銀歯そのものの表面を黒っぽく変色させる直接的な原因です。この黒ずみは、単なる審美的な問題だけでなく、金属が劣化しているサインであり、セラミックなどへのやりかえを検討するきっかけの一つとなります。
・原因②:歯ぐきへの金属イオンの沈着(メタルタトゥー)
銀歯の黒ずみの中で、特に審美治療において問題となるのが「メタルタトゥー」です。これは、銀歯に使用されている金属が、唾液によって長期間かけてごくわずかに溶け出し、「金属イオン」として歯ぐき(歯肉)の内部に流れ込み、沈着(色素沈着)してしまう現象です。この沈着した金属イオンが、銀歯と接している歯ぐきを、まるで刺青(タトゥー)のように青黒く黒ずませてしまいます。このメタルタトゥーによる黒ずみの原因は歯ぐき自体に色素が定着しているため、一度発生してしまうと、原因である銀歯をやりかえてセラミックなどのメタルフリー素材に交換したとしても、歯ぐきの色を元に戻すのは困難な場合があります。
・銀歯そのものだけでなく、周囲の歯や歯ぐきも黒ずむ
銀歯による黒ずみの影響は、金属そのものや歯ぐき(メタルタトゥー)に留まりません。溶け出した金属イオンが、銀歯が接着しているご自身の「歯質(象牙質)」自体に染み込み、歯を内側から黒っぽく変色させてしまうことがあります。この歯質の黒ずみは、やりかえの際に歯を削っても取り除けない場合があり、将来的に透明感の高いセラミック(オールセラミック)を用いた審美治療を行っても、内部の暗い色が透けて見える原因となり、白さの再現を難しくすることがあります。また、黒ずんだ(劣化した)銀歯の表面は目に見えないレベルで粗造になり、プラーク(歯垢)が付着しやすくなるため、黒ずみの境目が虫歯の再発(二次カリエス)のサインである可能性も考慮しなくてはなりません。
黒ずみを放置するリスクは「見た目」だけではない
・リスク①:銀歯と歯の「隙間」から始まる二次虫歯
銀歯の黒ずみは、単なる金属の変色だけでなく、虫歯再発のサインである可能性も潜んでいます。保険診療の銀歯は、歯と接着剤(セメント)で固定されていますが、このセメントは唾液によって長年のうちに少しずつ溶け出す(溶解する)性質があります。その結果、目には見えない微細な「隙間」が生じ、そこから虫歯の原因菌が内部に侵入します。これが、銀歯の下で虫歯が再発する「二次カリエス」です。銀歯はX線を通しにくく、内部の虫歯は発見が遅れがちです。黒ずみは、こうした劣化のサインであることも多く、審美的な問題だけでなく、歯の健康を守るためにもセラミックなどへのやりかえ(再治療)を検討する理由となります。
・リスク②:金属アレルギーを発症する可能性
保険診療の銀歯(金銀パラジウム合金など)には、銀、パラジウム、銅、亜鉛など、複数の金属が含まれています。これらの金属は、お口の中の過酷な環境(唾液や食物の酸など)でわずかに溶け出し、金属イオンとして体内に蓄積していきます。黒ずみは、金属が溶け出している(イオン化している)証拠とも言えます。長期間その状態が続くと、体が金属イオンに過敏に反応するようになり、ある日突然、金属アレルギーを発症することがあります。症状は、お口の中の粘膜の荒れや痛みだけでなく、手のひらや足の裏の皮剥け、全身の皮膚炎など、歯科とは無関係に思える場所に現れることもあります。金属を一切使用しないセラミック治療へのやりかえは、こうした原因不明の体調不良のリスクを回避する選択肢にもなります。
・リスク③:一度沈着した歯ぐきの黒ずみは取れにくい
銀歯から溶け出した金属イオンが、銀歯に隣接する歯ぐき(歯肉)に沈着し、その部分を青黒く変色させてしまうことがあります。これを「メタルタトゥー(金属刺青)」と呼びます。この歯ぐきの黒ずみは、審美的な問題となるだけでなく、一度沈着してしまうと、原因である銀歯をセラミックなどのメタルフリー素材にやりかえたとしても、歯ぐきの色を元に戻すのは困難な場合が多いのが実情です。審美治療でせっかく歯を白く美しくしても、歯ぐきが黒ずんだままでは、口元全体の印象が損なわれてしまいます。歯ぐきへの色素沈着がさらに広がる前に、金属イオンが溶け出す原因を取り除く(やりかえ)ことが、将来的な審美性の維持にもつながります。
セラミック治療の「種類」と「特徴」
・美しさと透明感を追求する「オールセラミック(e.maxなど)」
銀歯の黒ずみが特に気になる場合、審美治療として「美しさ」を最優先に考える方に推奨される選択肢が「オールセラミック」です。これは、銀歯と異なり金属を一切使用せず、100%セラミック(陶材)のみで作られる修復物です。その最大のメリットは、天然の歯が持つ自然な「透明感」と「色調」を高いレベルで再現できる点にあります。銀歯の黒ずみとは対照的に、光の透過性が天然歯に近いため、非常に自然な仕上がりとなります。代表的な素材として「e.max(イーマックス)」などがあり、これはニケイ酸リチウムガラスセラミックと呼ばれる高強度なガラス系セラミックです。銀歯からのやりかえにおいて、特に見た目が重視される前歯や小臼歯の治療に適しています。また、オールセラミックは金属を全く含まないため、銀歯の黒ずみの原因となる金属イオンの溶け出し(メタルタトゥー)や、金属アレルギーの心配がありません。表面が滑らかで汚れ(プラーク)が付着しにくく、長期間変色しないため、審美性と生体親和性(体への優しさ)を両立するやりかえ治療の選択肢です。
・奥歯にも適した強度を持つ「ジルコニアセラミック」
「奥歯の銀歯を白くしたいけれど、セラミックは割れないか心配」という方に適した選択肢が「ジルコニアセラミック」です。ジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるほど非常に高い強度と靭性(粘り強さ)を持つセラミック材料です。銀歯のやりかえにおいて、特に噛む力が強くかかる奥歯(大臼歯)の被せ物(クラウン)や、複数の歯を連結するブリッジ治療にも使用することが可能です。従来のオールセラミック(e.maxなど)が美しさを得意とするのに対し、ジルコニアは「強度」に最大のメリットがあります。ただし、初期のジルコニアは白さが均一で透明感に欠けるという審美的な課題がありましたが、近年は材料の改良が進み、天然歯に近い透明感やグラデーションを再現した「高透光性ジルコニア」も登場しています。ジルコニアも金属を一切使用しないため、銀歯の黒ずみの原因となる金属イオンの溶け出しや、金属アレルギーのリスクはありません。銀歯の黒ずみという審美的な問題を解消しつつ、奥歯でしっかり噛める「強度」も妥協したくない場合のやりかえ治療(審美治療)として、信頼性の高い選択肢となっています。
・どの歯に、どのセラミックが適しているのか
銀歯の黒ずみをセラミックにやりかえる際、「どのセラミックを選べば良いか」は、治療する「歯の部位」と「患者さんが何を優先するか」によって異なります。まず、最も審美性が求められる「前歯」や、笑うと目立ちやすい「小臼歯」のやりかえには、天然歯のような透明感と色調の再現性に優れた「オールセラミック(e.maxなど)」が適していることが多いです。金属の黒ずみを解消し、最も自然な見た目を追求する審美治療に向いています。一方、噛む力が最も強くかかる「奥歯(大臼歯)」の銀歯のやりかえには、美しさ(審美性)と「強度」を両立できる「ジルコニアセラミック」が推奨されることが一般的です。特に、夜間の歯ぎしりや食いしばりの癖がある方には、ジルコニアの強度が適しています。また、比較的小さな銀歯(詰め物=インレー)のやりかえであれば、e.maxやハイブリッドセラミックなど、選択肢はさらに広がります。どの材料がご自身の黒ずみの原因や、お口全体の噛み合わせ、ご予算に最も適しているか、歯科医師とのカウンセリングでしっかり相談することが重要です。
銀歯からセラミックへ。「やりかえ」治療の基本的な流れ
・STEP1:カウンセリングと精密検査(銀歯内部の確認)
銀歯の黒ずみをセラミックにやりかえたいとお考えの場合、まずは患者さんのお悩みやご希望を詳しく伺う「カウンセリング」から始まります。「見た目の黒ずみが気になる」「金属アレルギーが心配」「審美治療に関心がある」といったご要望をお聞かせください。歯科医師がセラミックの種類や特徴、メリット・デメリット、治療にかかる費用や期間の目安をご説明し、治療のゴールを共有します。次に、お口全体の精密検査を行います。見た目だけでなく、レントゲン撮影(デンタルX線写真)が不可欠です。この検査の目的は、銀歯で隠れた「内部の状態」を正確に把握することです。黒ずみの原因が単なる金属の変色なのか、あるいは銀歯と歯の隙間から虫歯が再発(二次カリエス)していないか、歯の根(歯根)の状態は健康か、などを詳細に確認します。審美治療であっても、まずは土台となる歯の健康が最優先です。この検査結果に基づき、最終的な治療計画を立案します。
・STEP2:銀歯の除去と、虫歯の再治療(必要な場合)
カウンセリングと検査に基づいた治療計画にご同意いただけたら、実際の処置を開始します。まず、対象となる古い銀歯を除去します。銀歯は硬いため、専用の器具で削りながら丁寧に取り除いていきます。処置中は必要に応じて局所麻酔を使用しますので、痛みを感じることはほとんどありません。銀歯を外すと、STEP1の検査では分かりにくかった内部の状態が明らかになります。もし、銀歯の下で虫歯が再発していたり(二次カリエス)、黒ずみが歯質にまで及んでいたりした場合は、セラミック治療の前に、まずこの「虫歯の再治療」を優先します。感染した歯質を丁寧に取り除き、健康な土台を整えることが、審美治療を長持ちさせるための鍵です。この再治療が不十分だと、せっかくセラミックを被せても内部で再び虫歯が進行する原因となります。虫歯が神経にまで達していた場合は、根管治療(歯の神経の治療)が必要になることもあります。
・STEP3:精密な型取りとセラミック修復物の作製・装着
銀歯を除去し、虫歯の再治療(必要な場合)を終えて土台となる歯(支台歯)が健康な状態に整ったら、セラミック修復物を作製するための「型取り(印象採得)」を行います。セラミック治療の成功、すなわち審美性(見た目の美しさ)と機能性(適合性の高さ)は、この型取りの精度に大きく左右されます。従来の粘土のような材料(印象材)だけでなく、歯科医院によっては光学スキャナ(口腔内スキャナ)を用いて、お口の中を撮影するデジタルでの型取りを行う場合もあります。また、この時に「シェードテイキング(色合わせ)」を行います。周囲の天然歯の色調や透明感を詳細に記録し、作製するセラミックがご自身の歯と自然に調和するように設計します。後日、歯科技工士が精密に作製したセラミック修復物(インレーやクラウン)を、専用の強力な接着剤(レジンセメントなど)を用いて歯に装着します。最後に、噛み合わせ(咬合)に問題がないか最終調整を行い、やりかえ治療は完了です。
審美治療(セラミック)の医院選びで考慮すべき点
・事前のカウンセリングと説明が十分か
銀歯の黒ずみをセラミックにやりかえる審美治療は、多くが自費診療となります。そのため、治療を開始する前の「カウンセリング」と「説明」が十分に行われるかは、医院を選ぶ上で非常に重要なポイントです。信頼できる歯科医院は、まず患者さんが銀歯の黒ずみについて「どのように気になっているのか」「最終的にどのような口元を希望されるのか」を丁寧にヒアリングします。その上で、歯科医師が専門家として、レントゲンなどの検査結果に基づき、「黒ずみの原因は何か(金属の変色か、虫歯の再発の可能性か)」「なぜやりかえが必要か(または、まだその必要がないか)」を客観的に説明します。さらに、セラミック治療を行う場合、どのような種類のセラミックが適しているのか、それぞれのメリット・デメリット、治療にかかる期間や費用の総額について、明確な見積もりと共に提示されるべきです。一方的な説明ではなく、患者さんの疑問や不安に一つひとつ答え、納得した上で治療を選択できる環境が整っているかどうかが、審美治療の満足度を左右します。
・精密な治療のための設備(マイクロスコープなど)の有無
セラミック治療の「質」、すなわち審美性と長期的な耐久性は、治療の「精密さ」に大きく依存します。特に銀歯のやりかえでは、黒ずみの原因ともなる古い銀歯や、その下で再発している可能性のある虫歯を、健康な歯質をできるだけ傷つけずに、かつミクロレベルで完全に取り除く必要があります。しかし、暗く狭いお口の中で、肉眼だけでこの精密な作業を行うには限界があります。そこで重要になるのが、視野を数倍から20倍以上に拡大できるマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)やルーペ(拡大鏡)といった設備です。これらの機器を用いることで、歯科医師は虫歯の取り残しや、セラミックと歯との「境目(マージン)」の適合状態を「直視」しながら処置を行えます。この精密な処置が、やりかえ後の隙間を最小限に抑え、虫歯再発のリスクを低減させることに直結します。審美治療の質を支える設備が整っているかも、医院選びの一つの基準となります。
・治療後の保証やメンテナンス体制
銀歯の黒ずみをセラミックにやりかえる審美治療は、自費診療であり、保険診療の銀歯に比べて費用負担が大きくなる傾向があります。そのため、「治療したら終わり」ではなく、そのセラミックを長期間、健康かつ美しく維持するためのアフターフォロー体制が整っているかが重要です。まず確認したいのが「保証制度」の有無です。セラミックは強度が高い材料ですが、強い歯ぎしりや食いしばり、あるいは不意の事故などで、まれに欠けたり割れたりする可能性もゼロではありません。そうした偶発的なトラブルに対し、歯科医院が独自の保証期間や条件(例:定期検診の受診が条件など)を設けているかを確認しておくと安心です。また、セラミック自体は虫歯になりませんが、土台となっているご自身の歯や、接着面は虫歯になるリスクが残ります。銀歯のやりかえ後に黒ずみや虫歯の再発を防ぐためにも、治療後の定期的なメンテナンス(専門的なクリーニングや噛み合わせのチェック)が不可欠です。長期的な視点で患者さんのお口の健康をサポートする体制がある歯科医院を選びましょう。
セラミック治療後の注意点と長持ちさせるメンテナンス
・セラミックの歯を長持ちさせる日々のセルフケア
銀歯の黒ずみを解消し、セラミックへのやりかえが完了すると、その白さと美しさに満足されることでしょう。まずご理解いただきたいのは、セラミック(陶器)という素材自体は虫歯菌に侵されることはない、という点です。しかし、それは「治療した歯が二度と虫歯にならない」という意味ではありません。セラミックを支えているのは、ご自身の「歯(土台となる歯質)」であり、セラミックと歯との「境目(接着面)」が存在します。銀歯と異なり、セラミックは表面がなめらかでプラーク(歯垢)が付着しにくいため、虫歯の再発リスクは比較的低いとされていますが、日々のセルフケアを怠れば、その「境目」から虫歯の原因菌が侵入し、虫歯が再発する可能性は十分にあります。審美治療で得た美しさと健康を長持ちさせるため、日々のブラッシングで「境目」を丁寧に磨くこと、そして歯と歯の間の清掃(デンタルフロスや歯間ブラシ)を習慣化することが不可欠です。
・歯ぎしり・食いしばりから守る「ナイトガード」
セラミックは、天然歯に近い硬さと審美性を持ちますが、銀歯(金属)のような「粘り強さ(靭性)」はありません。陶器が強い衝撃で割れることがあるように、セラミックも過度な力が一点に集中すると、欠けたり割れたりする(破折)リスクがあります。特に注意が必要なのが、ご自身ではコントロールが難しい睡眠中の「歯ぎしり」や「食いしばり」(ブラキシズム)です。これらは、時に体重以上の非常に強い力を歯に加え続けるため、セラミック歯だけでなく、健康なご自身の歯や顎の関節にもダメージを与える原因となります。歯科医院での検査で、歯ぎしりや食いしばりの兆候(歯の異常なすり減りなど)が認められた場合、銀歯の黒ずみをセラミックにやりかえる審美治療を終えた後、その大切なセラミック歯を過度な力から守るために、就寝時に装着する「ナイトガード(マウスピース)」の作製を推奨することがあります。これは、治療した歯を長期的に守るための重要なメンテナンスの一環です。
・噛み合わせの変化をチェックする定期検診の重要性
銀歯からセラミックへのやりかえ治療が完了した時点では、歯科医師が全体のバランスを考慮し、噛み合わせを精密に調整しています。しかし、お口の中の状態は永久に不変ではありません。他の歯がすり減ったり、わずかに移動したり、加齢によって歯を支える骨や歯ぐきの状態が変化したりすることで、噛み合わせは日々少しずつ変わっていきます。このわずかな変化が蓄積し、やりかえたセラミック歯にだけ強く当たる場所(早期接触)が生まれると、そこが支点となって過度な負担がかかり、セラミックの破損や、土台の歯(歯根)の破折といった深刻なトラブルの原因となることがあります。審美治療で得た美しさと機能を長期間維持するためには、この噛み合わせの変化をチェックする「定期検診」が不可欠です。検診では、セラミックの状態、虫歯の再発の有無、噛み合わせの調整、そして専門的なクリーニングを行い、黒ずみや虫歯のない健康な状態を維持するサポートをします。
銀歯の「やりかえ」審美治療でよくある疑問(FAQ)
・Q.セラミックは割れたり、欠けたりしませんか?
A.セラミックと聞くと「陶器」のイメージから、「銀歯に比べて割れやすいのではないか」とご心配されるお気持ちはよくわかります。確かに、金属のような粘り強さ(靭性)はありませんが、近年の歯科用セラミック材料(特にジルコニアなど)は、お口の中で使用するために開発されており、十分な強度と耐久性を備えています。奥歯のやりかえにも問題なく使用できる素材が主流です。ただし、セラミックが長期的に機能するかどうかは、材料の強度だけでは決まりません。歯科医師による精密な形成(歯の削り方)、適合性の高い型取り、そして噛み合わせの綿密な調整が非常に重要です。例えば、夜間の歯ぎしりや食いしばりが強い方には、セラミック歯を守るためのマウスピース(ナイトガード)の使用をご提案する場合もあります。審美治療であっても、見た目だけでなく「長期的な機能性」を最優先に考慮し、適切な診断と処置を行いますのでご安心ください。
・Q.銀歯をセラミックに替える治療は痛いですか?
A.銀歯からセラミックへのやりかえ治療では、患者さんのご負担を最小限にするため、適切な処置を行いますのでご安心ください。まず、古い銀歯を除去するステップでは、歯を削る処置が伴いますが、これは局所麻酔をしっかり効かせた状態で行います。そのため、治療中に痛みを感じることはほとんどありません。これは、通常の虫歯治療で麻酔をするのと同じ感覚です。銀歯を外した後、もし内部で虫歯が再発していた場合(黒ずみの原因が虫歯だった場合)、その再治療も麻酔が効いた状態のまま進めます。もし虫歯が神経(歯髄)の近くまで達している深いケースでは、治療後に一時的にしみたり、軽い痛みが出たりする可能性(術後疼痛)はゼロではありませんが、通常は時間の経過とともに落ち着いていきます。審美治療の各ステップにおいて、痛みや不安をできる限り取り除けるよう配慮しますので、ご不安な点は遠慮なく歯科医師にお伝えください。
・Q.保険適用の白い歯(CAD/CAM冠)との違いは?
A.銀歯のやりかえを検討する際、同じ「白い歯」でも、保険適用の「CAD/CAM冠(キャドキャムかん)」と、自費診療の「セラミック」には、主に材質の面で大きな違いがあります。CAD/CAM冠は、セラミックの粒子とレジン(歯科用プラスチック)を混ぜ合わせた「ハイブリッドレジン」という材料のブロックを、機械で削り出して作製します。一方、セラミック治療(オールセラミック)は、100%陶器(ポーセレンやジルコニア)で作製されます。主な違いは以下の点です。
審美性:セラミックは天然歯のような透明感と色調を再現できますが、CAD/CAM冠はレジンを含むため、透明感や色合いの細かな再現性は劣ります。
変色:セラミックは水分や色素を吸収しないため、長期間使用しても変色しません。CAD/CAM冠はレジンを含むため、数年経つと水分を吸収して黄ばみや変色を起こす可能性があり、黒ずみとは異なる変色が起こり得ます。
耐久性:セラミックの方が表面が硬くなめらかで、傷がつきにくく、汚れ(プラーク)も付着しにくいため、虫歯の再発リスクが低いとされます。(※CAD/CAM冠は適用できる歯の部位に保険上の制限があります。)
・Q.治療期間や費用はどれくらいかかりますか?
A.銀歯からセラミックへのやりかえにかかる治療期間と費用は、お口の状態によって異なります。治療期間:銀歯を外した際、内部に虫歯の再発(黒ずみの原因)がなく、土台の歯が健康な状態であれば、治療は比較的短期間で完了します。一般的な流れは、[1回目]に銀歯の除去とセラミックのための型取りを行い、[2回目](約1〜2週間後)に完成したセラミック修復物を装着します。通院回数は2〜3回程度が目安です。しかし、銀歯の下で大きな虫歯が再発しており、歯の神経(歯髄)の治療(根管治療)が再治療として必要になった場合は、まず根の治療を優先します。この場合、根の治療が完了するまでに別途数回の通院が必要となるため、全体の治療期間は数ヶ月に及ぶこともあります。費用:セラミックを用いた審美治療は、保険適用外(自費診療)となります。費用は、やりかえる歯の部位(詰め物か被せ物か)、使用するセラミックの種類(例:オールセラミック、ジルコニアなど)によって変動します。詳細については、カウンセリングと精密検査の後、個別の治療計画と共にお見積もりを提示しますので、歯科医師にご確認ください。
銀歯の黒ずみは、お口の健康を見直すサイン
・「たかが黒ずみ」と放置せず、内部の状態確認を
銀歯の黒ずみが気になっても、「痛みがないから」「見た目だけの問題だろう」と放置してしまっている方は少なくありません。しかし、その黒ずみは、単なる金属の変色(酸化・硫化)だけでなく、銀歯が劣化しているサインである可能性も考慮すべきです。保険診療の銀歯を固定しているセメント(接着剤)は、唾液によって長い年月の間に少しずつ溶け出し、銀歯と歯との間に微細な隙間を生じさせることがあります。その隙間から虫歯の原因菌が侵入し、内部で虫歯が再発(二次カリエス)しているケースは非常に多いのです。銀歯の下はレントゲンでも確認しにくいため、自覚症状が出た時には虫歯が大きく進行していることもあります。黒ずみは、そうした内部の問題を知らせるSOSかもしれません。セラミックへのやりかえなど、審美治療を検討する第一歩としても、まずは歯科医院で精密検査を受け、内部の状態を正確に確認することが大切です。
・機能性と審美性を両立するセラミック治療という選択
銀歯の黒ずみや、それに伴う虫歯の再発、金属アレルギーといったリスクに対する有効な選択肢が、「セラミック治療」です。セラミック(陶器)は、金属を一切使用しないメタルフリーの材料です。最大のメリットは、審美性の高さです。銀歯のように変色したり、歯ぐきを黒ずませたり(メタルタトゥー)することがありません。天然の歯が持つ自然な透明感と色調を再現できるため、口元の印象が大きく改善されます。しかし、セラミックの利点は見た目だけではありません。機能面でも、銀歯に比べて優れている点があります。セラミックの表面は非常に滑らかで、虫歯の原因となるプラーク(歯垢)が付着しにくいのが特徴です。また、現代の歯科治療では、セラミックを特殊な接着剤で歯と強固に一体化させるため、銀歯と歯の「隙間」ができにくく、虫歯の再発リスクを低減させることが期待できます。銀歯からのやりかえは、審美治療であると同時に、お口の健康を長期的に守るための機能的な再治療とも言えるのです。
・まずは「やりかえ」が可能か、歯科医師に相談することから
「銀歯の黒ずみが気になるから、すぐにセラミックにやりかえたい」とお考えになった場合でも、まずは歯科医院で専門家である歯科医師にご相談いただくことがスタートラインです。銀歯からのやりかえ治療は、どの歯でもすぐに行えるわけではなく、精密な診断が不可欠です。例えば、銀歯を外した際、黒ずみの原因であった内部の虫歯が非常に深く、歯の神経(歯髄)にまで達していた場合、セラミックを被せる前に、まず神経の治療(根管治療の再治療)を優先する必要があります。また、残っているご自身の歯質が極端に少ない場合、セラミックの強度を保つのが難しいと判断されるケースもあります。まずはご自身の現在の状態(銀歯内部の虫歯の有無、歯の根の状態)を正確に把握すること。そして、その歯にセラミックを用いた審美治療が最適かどうかを歯科医師としっかり話し合うことが、満足のいく治療への第一歩となります。
監修:関口デンタルオフィス
電話番号:048-652-1182
*監修者
関口デンタルオフィス
*経歴
・2008年 日本大学歯学部卒業
日本大学歯学部臨床研修部入局
・2009年 日本大学歯学部補綴学第一講座入局
専修医
顎関節症科兼任
・2014年 同医局退局
関口デンタルオフィス開院
*所属学会
*スタディークラブ
・CIDアクティブメンバー(Center of Implant Dentistry)






