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仮歯の期間はどれくらい?セラミック治療の術前ステップを徹底解説|さいたま市北区宮原の歯医者・歯科で審美インプラント治療|関口デンタルオフィス埼玉

仮歯の期間はどれくらい?セラミック治療の術前ステップを徹底解説

目次

 

セラミック治療、最終的な歯が入るまでどう過ごす?「仮歯」への不安

「仮歯ってすぐ取れる?」治療中の見た目と食事の心配

セラミックの美しい歯を手に入れたいけれど、治療の途中段階である「仮歯(かりば)」の期間が不安、という方は少なくありません。「食事中にポロッと取れてしまわないか」「見た目が不自然で周りの人に気づかれるのではないか」といった、審美面や機能面での心配はもっともなことです。仮歯は、最終的なセラミックを装着するために、最終装着時に外せるよう、一時的な接着剤で固定しています。そのため、ガムやキャラメルのような粘着性の高いものや、硬いものを噛むと外れてしまうことがあります。しかし、日常生活における通常の食事や会話で簡単に外れることは稀です。また、見た目に関しても、保険治療で使われるような金属色の仮の詰め物とは異なり、歯の色に近い樹脂で製作するため、自然な見た目を維持できます。

 

治療期間はどのくらい?通院回数とスケジュールの全体像

セラミック治療全体の流れを事前に把握しておくことは、術前の不安を和らげる上で非常に大切です。治療する歯の状態や本数によって異なりますが、一般的なセラミッククラウン(被せ物)1本の場合、初回のカウンセリングから最終的な装着まで、通院回数は3〜5回、期間としては約1ヶ月〜1.5ヶ月半程度が目安となります(前処置・色調再現・技工工程により前後)。これには、歯の形を整えて型取りをするステップ、歯科技工士がセラミック歯を製作する期間、そして最終的に装着・調整するステップが含まれます。仮歯の期間はおおむね1〜2週間ですが、調整・再製作が必要な際は延長します。ただし、術前に根管治療や歯周病治療が必要な場合は、全体の治療期間はそれに応じて長くなります。

 

そもそも仮歯って何のため?治療ステップを正しく知りたい

仮歯は、単に「最終的なセラミックが入るまでのつなぎ」や「削った歯を隠すためのフタ」だと思われがちですが、実はそれだけではありません。仮歯は、精度の高いセラミック治療を成功に導くために、非常に多くの重要な役割を担っている、非常に重要な術前ステップです。例えば、削ってデリケートになった歯を外部の刺激から守る、歯が動いてしまって歯並びが変わるのを防ぐ、歯ぐきの形を理想的な状態に整える、そして最終的な歯の形や噛み合わせをシミュレーションするなど、その役割は多岐にわたります。仮歯の重要性を正しく理解することで、治療期間中の不安も軽減されるはずです。

 

そもそもセラミック治療とは?銀歯との違いとメリット

天然歯のような透明感と白さ、審美性の高さ

セラミック治療が選ばれる最大の理由の一つは、その圧倒的な審美性の高さにあります。保険適用の銀歯がお口の中で目立ってしまうのに対し、セラミックは、天然の歯が持つ光の透過性や、白く美しい色調を忠実に再現することができます。まるでご自身の歯と見分けがつかないほどの、自然で透明感のある仕上がりが可能です。
また、素材自体が変色しにくいため、適切なケアと定期管理で、美しさを保ちやすい素材です。術前のカウンセリングというステップでは、患者様一人ひとりの歯の色に合わせ、最も調和の取れた色合いを精密に選択していきます。自信を持って笑える、美しい口元を実現するための優れた選択肢です。

 

金属アレルギーの心配なし、体への優しさ

お口の中に長期間入れるものだからこそ、体への優しさも重要なポイントです。保険適用の銀歯は、パラジウムや銀など、複数の金属を合わせた合金で作られています。そのため、金属アレルギーをお持ちの方にとっては、アレルギー反応を引き起こす原因となる可能性がありました。
その点、セラミックは金属を用いないメタルフリー素材のため、金属アレルギーの心配は原則少ないとされています。ただし接着材など他素材への過敏症や適応の可否は事前に確認が必要です。また、金属のようにイオンが溶け出して歯ぐきを黒ずませる(メタルタトゥー)心配もありません。生体親和性に非常に優れたセラミックは、審美性だけでなく、体への安全性という観点からも優れた歯科材料と言えます。

 

汚れがつきにくく虫歯になりにくい、長期的な安定性

セラミックの表面は、陶器のお皿のように非常に滑らかで、傷がつきにくい性質を持っています。そのため、歯垢(プラーク)などの細菌が付着しにくく、日々のブラッシングで清潔な状態を保ちやすいのが特徴です。これは、治療した歯が再び虫歯になる「二次カリエス」のリスクを低減させる上で、非常に大きなメリットとなります。
銀歯は経年的にセメントの劣化や金属の腐食・摩耗などで適合が損なわれやすく、その隙間からむし歯が再発することがあります。精密なステップを経て作製・装着されたセラミックは、歯との適合性も高く、長期的に安定した状態を維持しやすいのです。治療後の健康まで考えた、優れた機能性もセラミックの魅力です。

 

治療の全体像を把握する。カウンセリングから装着までの5ステップ

ステップ①:カウンセリングと精密検査(術前シミュレーション)

セラミック治療の成功は、丁寧なカウンセリングと精密な検査から始まります。最初のステップとして、まず患者様のご希望(色、形、お悩み)を詳しくお伺いします。その上で、レントゲン撮影や口腔内写真の撮影、お口全体のチェックなどを行い、治療対象の歯だけでなく、噛み合わせや歯ぐきの状態なども含めて総合的に診断します。近年では、口腔内スキャナーを用いて歯のデータを3Dで取得し、コンピュータ上で治療後の歯の状態をシミュレーションすることも可能です。この術前のステップで、治療のゴールを患者様と歯科医師が共有することが、満足度の高い結果に繋がります。

 

ステップ②:虫歯除去と土台の形成(歯を削る量と範囲)

次のステップは、セラミックを被せるための土台作りです。まず、古い銀歯やその下に隠れている虫歯があれば、完全に取り除きます。健康な歯だけを残し、清潔な状態にすることが基本です。虫歯が大きかったり、神経の治療をしていたりして歯の大部分が失われている場合は、「コア」と呼ばれる人工の土台を作って歯を補強します。その後、セラミックの厚みを確保するために、歯の表面を薄く削って形を整えていきます(形成)。この際、歯へのダメージを最小限に抑えつつ、完成するセラミックが長持ちするような精密な設計が求められる、非常に重要な術前処置です。

 

ステップ③:精密な型取りと「仮歯」の装着

歯の形成が終わったら、最終的なセラミック歯を製作するための精密な型取りを行います。この型取りの精度が、セラミックと歯の適合性を左右する極めて重要なステップです。シリコン系の精密な材料を用いた従来の型取りや、口腔内スキャナーによるデジタルでの型取りなどがあります。型取りが終わると、削った歯を保護し、次の来院までの日常生活に支障が出ないように「仮歯」を装着します。仮歯は、審美性や機能を一時的に回復させるだけでなく、完成するセラミックのための歯ぐきの環境を整えるという大切な役割も担っています。

 

ステップ④:歯科技工士によるセラミック歯の製作

型取りが終わると、そのデータを基に、専門の歯科技工士がセラミック歯の製作に取り掛かります。このステップは、患者様が仮歯で過ごしている期間に行われる、いわば舞台裏の作業です。歯科技工士は、歯科医師から共有された情報(歯の模型、口腔内写真、色の情報など)を基に、豊富な知識と経験、そして芸術的な感性を駆使して、オーダーメイドのセラミック歯を一つひとつ作り上げていきます。何層にもわたってセラミックの粉を盛り付けては焼成を繰り返すなど、その工程は非常に繊細で、高い技術力が求められます。この丁寧な仕事が、天然歯と見分けがつかないほどの自然な美しさを生み出すのです。

 

ステップ⑤:最終的なセラミック歯の装着と調整

歯科技工士から完成したセラミック歯が届いたら、いよいよ最終ステップです。まず仮歯を外し、歯の表面をきれいに清掃します。次に、完成したセラミック歯を実際にお口の中に合わせてみて、色や形、噛み合わせの高さを細かく調整していきます。患者様ご自身にも鏡でご確認いただき、色や形に完全に納得していただいた上で、専用の強力な接着剤(セメント)を用いて歯に完全に固定します。最後に、余分なセメントを取り除き、表面をきれいに磨き上げて、セラミック治療は完了となります。

 

なぜ「仮歯」は必要不可- 欠なのか?その重要すぎる5つの役割

削った歯を刺激から守る(保護機能)

セラミック治療のステップでは、歯の表面を一層削る必要があります。エナメル質という硬い鎧を失った歯は、象牙質という敏感な層が露出し、非常にデリケートな状態になります。この状態で仮歯をせずに放置すると、冷たいものや熱いものがしみたり(知覚過敏)、食事の際に痛みを感じたりすることがあります。特に神経が生きている歯の場合、細菌の侵入を許し、神経に炎症を起こしてしまうリスクも否定できません。仮歯は、こうした外部からの様々な刺激をブロックし、治療中の歯を安全に保護するための「プロテクター」としての極めて重要な役割を担っているのです。

 

歯が動いてしまうのを防ぐ(スペース確保)

歯というものは、常に隣の歯や噛み合う相手の歯と力を及ぼし合って、絶妙なバランスを保っています。歯を削ると、その歯と隣の歯との間にわずかな隙間ができます。もし仮歯を入れずに放置すると、歯はわずかな隙間でも埋めようと動く性質があるため、隣の歯が倒れ込んできたり、噛み合う相手の歯が伸びてきたりすることがあります。たとえ0.1mmでも動いてしまえば、精密に作製されたセラミックの歯は適合しなくなってしまいます。仮歯は、動こうとする歯をしっかりと抑え、最終的なセラミックが入るためのスペースを正確に確保するという、治療の精度を左右する重要な役割を果たしています。

 

食事や会話を助ける(機能回復)

歯を削ったままの状態で、仮歯を装着せずに1〜2週間過ごすことを想像してみてください。食べ物が挟まって食事がしにくかったり、特に前歯の場合は息が漏れて発音がしにくくなったりと、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。仮歯は、最終的なセラミック歯が完成するまでの間、こうした不便を解消し、普段通りの食事や会話を可能にする「機能回復」の役割を担います。特に人前に出るお仕事の方などにとって、治療期間中も普段と変わらない社会生活を送れることは、精神的な安心感にも繋がります。これも、治療というステップを快適に進めるための仮歯の重要な機能です。

 

歯ぐきの形を整える(審美性の向上)

特に前歯のセラミック治療において、最終的な仕上がりの美しさを決めるのは、歯の色や形だけではありません。歯と歯ぐきの境目のラインが、いかに自然で美しいかも非常に重要です。歯を削った後、歯ぐきは何もしないと形が変わってしまうことがあります。精密に設計された仮歯は、歯ぐきを理想的な位置に優しく圧迫・誘導し、最終的なセラミックが入るための土台となる歯ぐきのラインを美しく整えるという、審美的に極めて重要な役割を果たします。この術前のステップを踏むことで、まるで天然の歯がそこから生えているかのような、自然で美しい口元を実現できるのです。

 

最終的な歯のイメージを確認する(シミュレーション)

仮歯は、最終的に装着されるセラミック歯の「リハーサルモデル」としての役割も果たします。術前のカウンセリングで決定した歯の形や長さを、まずは仮歯で再現します。患者様にはその仮歯で実際に数日間生活していただき、見た目の印象(笑った時の見え方など)や、発音のしやすさ、噛み合わせの感覚などを体験的に確認していただきます。もし「もう少し短くしたい」といったご希望があれば、仮歯の段階で簡単に修正が可能です。このシミュレーションというステップを通じて最終的なゴールを確定させることで、「完成したセラミックがイメージと違った」という失敗を防ぐことができます。

 

仮歯の期間と注意点。快適に過ごすためのポイント

仮歯の期間は平均1〜2週間、治療内容による違い

仮歯を装着している期間は、型取りをしてから最終的なセラミック歯が完成するまでの間、平均すると1週間から2週間程度です。この期間は、専門の歯科技工士があなたのためのオーダーメイドのセラミック歯を精密に製作するために必要な時間となります。ただし、治療する歯の本数が多い場合や、非常に複雑な色合いの再現が求められる前歯のケースなどでは、もう少し長く期間をいただくこともあります。また、装着前の試適(トライイン)のステップで、形や色の微調整のために再製が必要となった場合も、仮歯の期間が延長になることがあります。焦らずに精度の高いゴールを目指すための、大切な期間とお考えください。

 

硬いもの・粘着性のある食べ物は避ける

仮歯は、最終的なセラミックを装着するステップでスムーズに取り外せるよう、意図的に比較的弱い接着剤で固定されています。そのため、食事には少し注意が必要です。おせんべいやナッツ、フランスパンの硬い部分、氷などを仮歯で噛むと、仮歯が破損したり、外れたりする原因となります。また、ガムやキャラメル、お餅などの粘着性の高い食べ物は、仮歯をくっつけて持ち上げてしまう可能性がありますので、治療期間中は避けるようにしてください。お食事の際は、できるだけ仮歯の反対側の歯で噛むように意識することも、トラブルを避けるためのポイントです。

 

歯磨きは優しく、デンタルフロスの使い方に注意

仮歯の期間中も、お口の中を清潔に保つことは非常に重要です。仮歯の周りにプラーク(歯垢)が溜まると歯ぐきが腫れてしまい、最終的なセラミックを装着する際に精密な適合が得られなくなる可能性があります。歯磨きの際は、毛先の柔らかい歯ブラシを使い、仮歯と歯ぐきの境目を優しく丁寧に磨きましょう。特に注意が必要なのがデンタルフロスの使い方です。フロスを上下に動かすと、その際に仮歯が引っかかって外れてしまうことがあります。フロスを通す際は、上から下に通した後、引き上げるのではなく、横から引き抜くようにしてください。

 

もしも仮歯が取れてしまった場合の対処法

注意していても、何かの拍子に仮歯が外れてしまうことがあります。その際は、決して慌てないでください。まずは、外れた仮歯をなくさないように保管し、できるだけ早く歯科医院にご連絡ください。ほとんどの場合、そのまま付け直しが可能です。外れたまま長期間放置してしまうと、削った歯がしみたり、隣の歯が動いてしまって完成したセラミックが入らなくなったりするトラブルの原因になります。ご自身で市販の接着剤などを使って付けようとするのは、歯を傷める危険性があるため絶対にやめてください。仮歯が外れるのは、治療ステップの一環として起こりうることですので、遠慮なくご連絡ください。

 

美しさと機能性を両立させる。精密な「歯の形成」と「型取り」

0.1mmにこだわる、セラミックの強度と適合性を決める歯の削り方

セラミック治療における「歯を削る」というステップは、単に歯を小さくする作業ではありません。最終的に装着されるセラミックが持つべき強度、そして歯にぴったりと適合するための精度を確保するための、極めて精密な「設計作業」です。セラミックには、噛む力に耐えるために最低限必要な厚みがあります。歯科医師は、歯へのダメージを最小限に抑えながら、素材ごとに必要な厚みを確保しつつ、歯への負担を抑えて形成します。
また、セラミックと歯の境目(マージン)を滑らかに仕上げることで、段差のない適合の良い被せ物が可能になり、二次的な虫歯のリスクを減らします。この丁寧な術前の形成が、セラミックの美しさと寿命を大きく左右するのです。

 

歯ぐきの健康状態が、型取りの精度を左右する

精密なセラミック歯を作るためには、寸分の狂いのない「型取り」が不可欠です。そして、その型取りの精度を大きく左右するのが、歯ぐきの健康状態です。もし歯ぐきに炎症があり、腫れていたり、出血しやすかったりすると、正確な型を取ることができません。腫れた歯ぐきの型を取ってしまうと、仮歯の期間中に歯ぐきが引き締まった後、完成したセラミックと歯ぐきの間に隙間ができてしまいます。また、出血は型取りの材料に混入し、模型の精度を著しく低下させます。
したがって、セラミック治療の術前には、必要に応じて歯周病の治療やクリーニングを行い、歯ぐきが引き締まった健康な状態を整えるというステップが非常に重要になります。

 

歯科技工士との連携、色や形を正確に伝える技術

美しく自然なセラミック歯は、歯科医師と、それを作製する専門家である歯科技工士との緊密な連携(チームアプローチ)によって生まれます。歯科医師の重要な役割の一つは、患者様の歯が持つ複雑な色合いや形、透明感といった情報を、歯科技工士に正確に伝えることです。
単に型取りを送るだけではありません。シェードガイドと呼ばれる色見本を用いた色の確認はもちろん、口腔内写真や顔貌写真など、様々な視覚的情報も共有します。時には、歯の部位ごとの微妙な色の違いを詳細に記した「シェードマップ」を作成することもあります。この丁寧なコミュニケーションというステップがあって初めて、歯科技工士はあなたの他の歯と完全に調和した、生命感あふれるセラミック歯を完成させることができるのです。

 

術前の土台作りが重要。セラミック治療前に必要な「根管治療」や「歯周病治療」

見えない部分の虫歯や感染を見逃さない

セラミック治療を始める際、古い銀歯を外してみると、その下で虫歯が広がっていた、というケースは少なくありません。また、自覚症状がなくても、歯の神経が死んでしまい、根の先に感染が起きていることもあります(根管治療が必要な状態)。もし、これらの見えない部分の感染を見逃したまま上から綺麗なセラミックを被せてしまうと、治療後に痛みや腫れといった深刻なトラブルを引き起こす原因となります。その場合、せっかく装着したセラミックに穴を開けて治療するか、最悪の場合は作り直しが必要になることも。確実なセラミック治療のためには、こうした内部の問題を術前に完全に取り除くというステップが不可欠です。

 

歯ぐきの腫れや出血はNG、精密な治療のための歯周病管理

セラミック治療の精度は、歯ぐきの健康状態に大きく左右されます。歯ぐきが腫れていたり、出血しやすい状態(歯肉炎や歯周病)のまま型取りを行っても、精密な模型を作ることはできません。腫れた歯ぐきは、仮歯の期間中に健康な状態に戻ると引き締まり、完成したセラミックと歯ぐきの間に隙間ができてしまいます。これでは見た目が悪いだけでなく、汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病の再発リスクも高まります。したがって、セラミック治療を始める前のステップとして、まずはお口全体のクリーニングや歯周病治療を行い、歯ぐきを健康に整えることが、精度の高い治療に不可欠な要素です。

 

美しいセラミックも、健康な土台があってこそ長持ちする

セラミック治療を家に例えるなら、セラミックの被せ物は「美しく高価な屋根」で、治療するご自身の歯は「家を支える土台や柱」です。どんなに素晴らしい屋根を載せても、土台が腐っていたり、柱がシロアリに食われていたりすれば、その家はすぐに傾き、倒れてしまいます。歯も全く同じです。歯の内部の感染(根管の問題)や、歯を支える歯ぐきや骨の病気(歯周病)を放置したままセラミックを被せるのは、まさに腐った土台の上に屋根を載せるようなものです。術前にこれらの問題を徹底的に治療するステップは、遠回りに見えるかもしれませんが、あなたのセラミック治療を成功させ、その価値を10年、20年と長持ちさせるための最も重要な「土台作り」なのです。

 

後悔しないセラミック治療のために。信頼できる歯科医院の選び方

治療前後の症例写真が豊富にあるか

セラミック治療の仕上がりは、歯科医師の技術や美的センスが大きく反映されます。その歯科医師がどのような治療を得意とし、どのようなゴールを目指しているのかを知るための最も分かりやすい判断材料が「症例写真」です。ホームページや院内などで、治療前と治療後の写真を数多く公開している歯科医院は、それだけ多くの経験を持ち、自らの治療結果に自信を持っている証拠と言えます。ご自身の希望に近い症例(前歯、奥歯、歯の色など)があるか、セラミックの色や形が自然で、歯ぐきの状態も美しいか、といった点に注目して見てみると良いでしょう。

 

素材の種類と特徴、メリット・デメリットを丁寧に説明してくれるか

一口に「セラミック」と言っても、ジルコニア、e.max(オールセラミックの一種)、メタルボンドなど、様々な種類があり、それぞれ強度や美しさ、費用が異なります。信頼できる歯科医院は、一つの素材を一方的に勧めるのではなく、それぞれの素材の特徴や、メリット・デメリットを術前のカウンセリングで丁寧に説明し、患者様の希望や歯の状態に合わせた最適な選択肢を複数提示してくれます。あなたの価値観やライフスタイルを尊重し、納得のいくゴールを一緒に見つけてくれる姿勢があるかどうかは、医院選びの重要なポイントです。

 

マイクロスコープなど、精密治療のための設備が整っているか

美しく長持ちするセラミック治療の鍵は、全てのステップにおける「精密さ」にあります。肉眼では見えないミクロン単位の精度が、セラミックと歯の適合性を高め、二次的な虫歯のリスクを低減させます。その精度を飛躍的に高めるのが、歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」です。マイクロスコープを用いることで、拡大視野により細部を確認しやすく、滑らかな形成や適合確認に役立ちます。また、型取りや装着のステップでも、肉眼では見逃してしまうような微細なズレや不適合を発見できます。こうした精密治療のための設備投資を積極的に行っている医院は、治療の質を追求する意識が高いと言えるでしょう。

 

歯科技工士との連携体制や、保証制度について

最終的なセラミック歯を製作するのは、専門の「歯科技工士」です。質の高い治療を提供する歯科医院は、優れた技術を持つ歯科技工士と緊密に連携しています。どのような技工所と提携しているのか、どのように色や形の情報を共有しているのかなど、技工士との連携体制について説明を求めに応じてくれるかも、医院の質を見極めるポイントです。また、セラミックのような自費診療に対して、医院独自の「保証制度」を設けているかも確認しましょう。保証期間や条件が明確に定められていることは、医院が自らの治療に責任を持つという姿勢の表れであり、患者様にとっては大きな安心材料となります。

 

セラミック治療と仮歯に関するよくあるご質問

Q. 仮歯が取れてしまったらどうすればいいですか?

A. もしも仮歯が取れてしまったら、まずは慌てずに、取れた仮歯をティッシュなどに包んで保管してください。そして、できるだけ早く歯科医院にご連絡いただき、予約をお取りください。仮歯が外れたまま長期間放置すると、削った歯がしみたり、隣の歯が動いてしまって完成したセラミックが入らなくなったりする原因になります。ご自身で市販の接着剤を使って付け直すことは、歯を傷つけたり、仮歯が壊れたりする原因となるため絶対におやめください。多くの場合、そのまま付け直しが可能ですので、まずはご連絡ください。

 

Q. 仮歯の期間中、食事で気をつけることは?

A. 仮歯は最終的なセラミックを外すステップを考慮し、意図的に外れやすい接着剤でつけています。そのため、お食事の際は少し注意が必要です。特に、ガムやキャラメル、お餅のような粘着性が高くくっつきやすい食べ物や、ナッツやおせんべいのような極端に硬い食べ物は、仮歯が外れたり、壊れたりする原因になるので避けるようにしてください。お食事の際は、なるべく仮歯の反対側の歯で噛むように意識すると、より安心して過ごすことができます。基本的には普段通りのお食事が可能ですが、少しだけ仮歯をいたわる気持ちを持っていただくことがポイントです。

 

Q. 仮歯の色や形は、最終的なセラミックに似ていますか?

A. 仮歯はあくまで樹脂(プラスチック)でできているため、最終的に装着するセラミックが持つ天然歯のような透明感や光沢、色調の深みを完全に再現することはできません。色合いに関しては、ある程度の近似色となります。しかし、「歯の形」や「長さ」に関しては、仮歯は非常に重要な役割を果たします。術前の計画に基づき、最終的なセラミックの完成形をシミュレーションする「試作品」として製作されるためです。この仮歯のステップで、患者様に実際の見た目や使い心地を確認していただき、ご希望があれば修正を加えることで、最終的な満足度を高めることができます。

 

Q. セラミック治療は保険適用されますか?

A. 一般的に、審美性を主目的とした高品質なオールセラミッククラウンやジルコニアクラウンなどは、保険適用外の「自費診療」となります。これは、治療に用いる材料や、精密な治療を実現するための技術・時間に保険制度上の制約がないためです。ただし、近年では「CAD/CAM冠(キャドキャムかん)」と呼ばれる、ハイブリッドセラミック(セラミックと樹脂の混合材料)を用いた白い被せ物が、一定の条件を満たせば保険適用で製作可能になっています。術前のカウンセリングというステップで、それぞれの素材のメリット・デメリット、費用について詳しくご説明し、最適な選択肢を一緒に考えていきますので、ご安心ください。

 

まとめ:術前ステップの理解が、理想のセラミック歯への近道

仮歯は、最終的な美しさを実現するための重要な準備期間

これまでご説明してきたように、「仮歯」の期間は単なる待ち時間ではありません。削った歯を保護し、歯の移動を防ぎ、さらには歯ぐきの形を整え、最終的なセラミックの形をシミュレーションするなど、理想の口元を実現するための非常にアクティブで重要な「準備期間」です。このステップを丁寧に行うことで、最終的に装着されるセラミック歯は、機能的にも審美的にも、より高いレベルであなたの口元に調和します。仮歯の役割を正しく理解し、ポジティブな気持ちでこの期間を過ごすことが、治療の成功に繋がります。

 

術前の丁寧なステップが、セラミックの寿命を決める

セラミック治療の価値は、装着した瞬間の美しさだけではありません。その美しさと機能が、いかに長く健康的に維持されるかが最も重要です。そして、セラミックの寿命を決定づけるのは、歯を削ったり、型を取ったり、装着したりするステップそのものよりも、むしろその前段階である「術前の土台作り」です。見えない部分の虫歯や感染を完全に取り除き、歯周病のない健康な歯ぐきを整える。この一見地味に見える術前の丁寧なステップこそが、あなたのセラミックが10年後、20年後も輝き続けるための最も確実な基盤となるのです。

 

不安を解消し、納得して治療に臨むためのカウンセリング

この記事を通じて、セラミック治療の様々なステップ、特に術前のプロセスや仮歯の重要性についてご理解いただけたかと思います。しかし、それでもなお、ご自身の状況に合わせた疑問や不安は残っていることでしょう。そのためにあるのが、私たち専門家によるカウンセリングです。あなたの理想や不安、疑問をすべてお聞かせください。私たちは、あなたが心から「納得」して治療に臨めるよう、あらゆる選択肢をご説明し、最適なプランを一緒に考えていきます。理想の笑顔への本当の近道は、信頼できるパートナーを見つけ、安心して相談することから始まります。

 

 

 

監修:関口デンタルオフィス

住所:埼玉県さいたま市北区宮原町4-134-24

電話番号:048-652-1182

*監修者

関口デンタルオフィス

院長 関口 亮

経歴

・2008年 日本大学歯学部卒業
日本大学歯学部臨床研修部入局

・2009年 日本大学歯学部補綴学第一講座入局
専修医
顎関節症科兼任

・2014年 同医局退局
関口デンタルオフィス開院

所属学会

日本補綴歯科学会

日本口腔インプラント学会

*スタディークラブ

JSCT(Jiads Study Club Tokyo)

CIDアクティブメンバー(Center of Implant Dentistry)

 

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