歯ぎしり・食いしばりがある人のセラミック治療｜割れにくくするための工夫とは
- 2025年12月20日
- 審美歯科
目次
歯ぎしりがある中で、セラミック治療を考えるあなたへ
「せっかく治すなら長持ちさせたい」という正直な不安
セラミック治療を検討されている方の多くが、「費用も時間もかけるなら、できるだけ長く使いたい」と感じています。特に歯ぎしりや食いしばりの自覚がある場合、その不安はより強くなる傾向があります。
実際、歯ぎしりは無意識のうちに強い力が歯にかかるため、被せ物や詰め物に負担が集中しやすい状態です。そのため「本当にセラミックを選んで大丈夫なのか」「後悔しないだろうか」と悩むのは、ごく自然な感情といえます。
重要なのは、不安を抱えたまま治療を進めるのではなく、歯ぎしりの影響や対策を正しく理解した上で、自分に合った選択肢を検討することです。長持ちさせたいという思いは、治療計画を丁寧に考えるための大切な出発点になります。
歯ぎしりがあるとセラミックは割れやすいのかという疑問
「歯ぎしりがあるとセラミックは割れる」といった情報を目にし、不安を感じている方も少なくありません。確かに、セラミックは金属に比べてしなやかさが少なく、強い力が一点に集中すると欠けたり割れたりするリスクが指摘される素材です。
一方で、すべての歯ぎしりが直ちにセラミック治療の大きな問題になるわけではありません。歯ぎしりの強さや頻度、噛み合わせの状態、使用するセラミックの種類など、複数の要因が関係します。
歯科医師はこれらを総合的に評価し、リスクをできるだけ抑える方法を検討します。「割れる可能性がある」という一面的な情報だけで判断せず、なぜそう言われるのか、その背景まで理解することが、不安を整理する第一歩になります。
誰にも相談できず情報だけが増えていく苦しさ
歯ぎしりとセラミック治療に関する情報は、インターネット上に数多く存在します。しかしその多くは断片的で、状況の違いを十分に考慮していないものも少なくありません。
調べれば調べるほど「割れる」「向いていない」「対策が必要」といった言葉が目に入り、かえって不安が増してしまう方もいます。また、身近な人に相談しにくいテーマであることも、この悩みを深くしている要因です。
本来、歯ぎしりやセラミック治療の適応は、専門的な診断をもとに判断されるべきものです。情報だけを抱え込むのではなく、自分の状態を客観的に見てもらうことで、初めて整理できる疑問も多くあります。専門家に相談することが、不安を軽くし、次の一歩を考えるきっかけになります。
まず知っておきたいセラミック治療の基礎知識
セラミック治療とは何を目的とした治療なのか
セラミック治療とは、歯の欠けや変色、被せ物・詰め物のやり替えなどに対して、陶材（セラミック）を用いて機能性と見た目の両立を目指す治療です。単に「白くする」ことが目的ではなく、噛む・話すといった日常的な口腔機能をできるだけ自然な状態で回復させることが大きな目的になります。
セラミックは、天然歯に近い色調や透明感を再現しやすく、変色しにくい特性があります。そのため、前歯だけでなく奥歯の治療でも選択されることがあります。一方で、歯ぎしりや食いしばりがある場合には、強い力が加わることで割れるリスクを考慮する必要があります。
このように、セラミック治療は見た目だけで判断するものではなく、噛み合わせや歯ぎしりの有無などを踏まえた上で、適応を慎重に検討する治療といえます。
保険治療との違いと、セラミックが選ばれる理由
保険診療で使用される被せ物や詰め物は、使用できる材料や治療方法が制度上定められています。機能回復を主な目的としているため、見た目や素材の選択肢には一定の制限があります。
一方、セラミック治療は自費診療となり、材料や設計の自由度が高い点が特徴です。色調や形態を細かく調整できるため、周囲の歯と調和しやすく、清掃性を考慮した形に仕上げやすいという利点があります。結果として、プラークが付着しにくく、長期的な口腔環境の維持につながるケースもあります。
ただし、自由度が高い分、歯ぎしりなどのリスク因子を十分に考慮せずに進めると、割れる可能性が高まることもあります。保険・自費の違いを正しく理解した上で、自分の口の状態に合った治療を選ぶことが重要です。
セラミックにも種類があり特性が異なること
一口にセラミックといっても、実際にはいくつかの種類があり、それぞれ強度や見た目の特性が異なります。例えば、透明感に優れたタイプは審美性に配慮しやすい一方、強い力が加わる部位では注意が必要とされることがあります。
一方で、強度を重視したセラミック素材も存在し、奥歯や歯ぎしりが疑われる方に検討されることがあります。ただし、どの素材であっても「割れない」「歯ぎしりの影響を受けない」というものではありません。
重要なのは、素材の特徴だけでなく、噛み合わせの調整やマウスピースによる歯ぎしり対策を含めて、総合的に治療計画を立てることです。セラミックの種類について十分な説明を受け、自分の生活習慣やリスクに合った選択をすることが、納得できる治療につながります。
歯ぎしり・食いしばりとは何かを正しく理解する
歯ぎしりが起こる仕組みと無意識下での力の大きさ
歯ぎしりや食いしばりは、多くの場合、睡眠中や集中しているときなど無意識の状態で起こります。原因は一つではなく、ストレス、噛み合わせの違和感、生活習慣、姿勢などが複雑に関係していると考えられています。
特に睡眠中の歯ぎしりでは、日中の咀嚼時よりも強い力が歯に加わることがあります。研究報告では、体重以上の力が歯にかかるケースも示されており、本人が自覚しないまま歯や顎に大きな負担が蓄積されていきます。
このような力は、天然歯だけでなく、セラミックの被せ物にも影響します。セラミックは硬さに優れる一方で、強い力が繰り返しかかることで割れるリスクが高まるため、歯ぎしりの有無を正しく把握することが治療計画の重要な要素になります。
自覚がなくても起きているケースが多い理由
歯ぎしりや食いしばりが厄介なのは、本人にほとんど自覚がないまま続いているケースが非常に多い点です。睡眠中に起こる歯ぎしりは、音を指摘されて初めて気づく方もいれば、誰にも気づかれないまま長期間続くこともあります。
また、日中の食いしばりも、仕事や家事、スマートフォン操作などに集中している間に無意識に行われていることが少なくありません。本人にとっては「普通の状態」であるため、負担がかかっているという認識を持ちにくいのが現実です。
歯科医院では、歯のすり減り方や被せ物の状態、顎の筋肉の緊張などから歯ぎしりを推測することがあります。自覚がないからといって問題がないとは限らず、マウスピースなどの対策が検討される理由も、こうした背景にあります。
歯や顎、被せ物に与える長期的な影響
歯ぎしりや食いしばりが長期間続くと、少しずつ歯や顎に影響が現れます。歯がすり減ったり、欠けたりするだけでなく、歯の根や歯周組織に負担がかかることで、違和感や痛みにつながることもあります。
顎の筋肉や関節への負担も無視できません。朝起きたときの顎の疲れ、口が開けにくい感覚、頭痛や肩こりなどが、歯ぎしりと関連している場合もあります。
さらに、セラミックなどの被せ物にとっても、歯ぎしりは注意すべき要因です。強い力が繰り返しかかることで、割れる・欠けるといったトラブルが起こる可能性があります。そのため、治療後もマウスピースによる歯ぎしり対策や定期的なチェックを行い、長期的な視点で口腔環境を守っていくことが大切です。
なぜ歯ぎしりがあるとセラミックが割れるリスクが語られるのか
天然歯とセラミックの力のかかり方の違い
天然歯とセラミックでは、力を受けたときの性質に違いがあります。天然歯は、表面のエナメル質と内側の象牙質という異なる硬さの層で構成されており、強い力が加わった際にもある程度しなやかに力を分散する特性があります。
一方、セラミックは硬さに優れ、見た目も自然ですが、素材としては弾力性が少ないという特徴があります。そのため、歯ぎしりや食いしばりによって強い力が繰り返し加わると、力が逃げにくく、特定の部位に集中しやすくなります。
この「力の逃げ場の違い」が、歯ぎしりがある場合にセラミックが割れるリスクとして語られる理由の一つです。素材の優劣ではなく、力のかかり方との相性を考えることが重要になります。
「割れる」と言われる背景にある臨床的な理由
歯科医院で「歯ぎしりがあるとセラミックは割れる可能性がある」と説明される背景には、実際の臨床経験があります。歯ぎしりが強い方では、治療後しばらくして被せ物に欠けや亀裂が生じるケースが報告されており、こうした経験則が注意喚起として伝えられてきました。
特に問題となるのは、睡眠中の無意識下で加わる力です。日常生活では感じないほどの強い咬合力が繰り返されることで、セラミックに微細なダメージが蓄積し、結果として割れる・欠けるといったトラブルにつながることがあります。
ただし、これはすべてのケースに当てはまるわけではありません。噛み合わせの調整やマウスピースによる歯ぎしり対策を併用することで、リスクを抑えながらセラミック治療が行われている例も多くあります。
リスクが高くなるケースとそうでないケースの差
歯ぎしりがある場合でも、セラミックが割れるリスクには個人差があります。例えば、歯ぎしりの力が非常に強い方、噛み合わせのバランスが崩れている方、奥歯にセラミックを使用する場合などでは、負担が集中しやすく注意が必要です。
一方で、歯ぎしりの程度が軽い場合や、噛み合わせが安定している場合、適切な素材選択と設計が行われている場合には、過度に心配する必要がないケースもあります。
重要なのは、「歯ぎしりがあるかどうか」だけで判断するのではなく、その強さや影響、生活習慣まで含めて評価することです。歯科医師による診断をもとに、マウスピースなどの対策を組み合わせることで、セラミック治療の選択肢が現実的になる場合もあります。
歯ぎしりがあってもセラミック治療は検討できるのか
歯ぎしりが即セラミック不可になるわけではない理由
「歯ぎしりがある＝セラミックはできない」と考えてしまう方もいますが、実際には一律に判断できるものではありません。歯ぎしりの強さや頻度、噛み合わせの状態、治療する部位（前歯か奥歯か）、残っている歯の量などによって、リスクの大きさは変わります。
セラミックは硬くて見た目が自然な反面、強い力が一点に集中すると割れる可能性があるため、歯ぎしりがある方では慎重な設計が求められます。ただし、リスクを踏まえた上で素材や形態を選び、必要に応じてマウスピースなどの歯ぎしり対策を組み合わせることで、治療が検討されるケースは少なくありません。
大切なのは「できる・できない」をネット情報だけで決めてしまわず、自分の口の状態に合わせて、現実的な選択肢を歯科医師と一緒に整理することです。
噛み合わせや歯の状態を総合的に診る重要性
歯ぎしりがある方のセラミック治療では、素材の強さだけでなく「どこに、どの方向から、どれくらいの力がかかっているか」を見極めることが重要です。噛み合わせのバランスが崩れていると、一部の歯や被せ物に負担が集中し、欠ける・割れるといったトラブルにつながりやすくなります。
また、土台となる歯の状態（虫歯の再発、歯の亀裂、神経の有無、歯周病の進行度）も、長期的な安定性に関わります。歯が薄くなっている、歯根に負担がかかっている、咬合面がすり減っているなど、歯ぎしりの影響がすでに出ている場合は、治療計画の立て方が変わることもあります。
そのため、セラミックを選ぶかどうかは「素材の好み」だけで決めず、噛み合わせと歯の健康状態を総合的に診断した上で判断することが、安心につながります。
素材選択によって変わるリスクの考え方
セラミックにはいくつか種類があり、審美性を重視したもの、強度を重視したものなど特性が異なります。歯ぎしりがある方では、見た目だけで素材を決めるのではなく、力がかかる部位に合った材料や設計を選ぶことが「割れるリスク」を考える上で欠かせません。
ただし、強度が高い素材を選べばすべて解決するわけではありません。素材が硬いほど、噛み合わせの当たり方によっては他の歯や顎に負担が出る可能性もあるため、バランスが大切です。さらに、装着後の管理も重要で、歯ぎしり対策として就寝時にマウスピースを使う、定期的に噛み合わせをチェックする、といった取り組みがリスク低減につながります。
素材選択は「どれが正解か」ではなく、「自分の噛み方・歯ぎしりの程度に合うか」という視点で考えると、納得のいく治療方針が見えてきます。
セラミックを長く使うために考えられる工夫と対策
歯ぎしり対策としてのマウスピースの役割
歯ぎしりや食いしばりがある方にとって、マウスピースはセラミックを守るための重要な対策の一つです。就寝中に装着することで、上下の歯が直接強く接触するのを防ぎ、歯や被せ物にかかる力を分散させる役割があります。これにより、セラミックが割れる・欠けるといったリスクを抑える効果が期待されます。
マウスピースは歯ぎしりそのものを「治す」ものではありませんが、無意識下で加わる過剰な力から歯を保護する点に意味があります。市販品ではなく、歯科医院で噛み合わせを考慮して作製されたものを使用することで、違和感を減らし、継続しやすくなります。セラミック治療とマウスピースは、対立するものではなく、併用することで長期的な安定を目指す関係といえます。
噛み合わせ調整が果たす意味と注意点
セラミックを長く使うためには、素材選びだけでなく噛み合わせの調整が欠かせません。噛み合わせに偏りがあると、特定の歯や被せ物に力が集中し、歯ぎしりがある場合には特に割れるリスクが高まります。そのため、治療時には噛む力の方向や強さを考慮し、できるだけ均等に力が分散されるよう調整が行われます。
ただし、噛み合わせは時間とともに変化することもあります。治療直後は問題がなくても、歯ぎしりや生活習慣の影響でバランスが変わるケースも少なくありません。そのため、一度調整したら終わりではなく、違和感が出た場合や定期検診の際に再評価することが重要です。無理に我慢せず、早めに相談することがトラブル予防につながります。
治療後のセルフケアと定期管理の重要性
セラミック治療後の安定性は、日々のセルフケアと歯科医院での定期管理によって大きく左右されます。歯ぎしりがある方では、被せ物だけでなく、周囲の歯や歯ぐきへの負担も蓄積しやすいため、口腔内全体を清潔に保つことが重要です。適切なブラッシングや歯間清掃を行うことで、虫歯や歯周病のリスクを抑え、結果としてセラミックの寿命にも良い影響を与えます。
また、定期的なチェックでは、噛み合わせの変化やセラミック表面の微細な異常、マウスピースの適合状態などを確認します。小さな変化を早期に把握できれば、大きなトラブルを防ぎやすくなります。治療後も歯科医師と継続的に関わることが、安心してセラミックを使い続けるための大切な対策です。
マウスピースは「割れ防止」のためにどこまで有効か
マウスピースができることとできないこと
マウスピースは、歯ぎしりや食いしばりによって生じる強い力から歯や被せ物を守るための装置です。就寝中に装着することで、上下の歯が直接ぶつかるのを防ぎ、噛む力を面で受け止めて分散させる役割があります。これにより、セラミックに一点集中して力が加わる状況を避けやすくなり、「割れる」「欠ける」といったトラブルのリスク軽減につながります。
一方で、マウスピースは歯ぎしりの原因そのものを取り除く治療ではありません。歯ぎしりの背景には、ストレス、生活習慣、噛み合わせなど複数の要因が関与しており、マウスピースはそれらを根本的に解消するものではない点を理解しておく必要があります。そのため、「マウスピースを使っていれば絶対に割れない」といった考え方は適切ではありません。あくまで、セラミックを守るための現実的な対策の一つとして位置づけることが大切です。
就寝時に装着する意味と継続の大切さ
歯ぎしりによる負担が最も大きくなるのは、睡眠中の無意識な時間帯です。起きている間は力の加減を意識できますが、就寝中は自覚のないまま強い咬合力が繰り返しかかります。そのため、マウスピースは「夜間に装着すること」に大きな意味があります。
また、マウスピースは一時的に使用するだけでは十分な対策にならない場合があります。歯ぎしりは長期間続くことが多いため、継続的に装着することで、歯やセラミックにかかるダメージの蓄積を抑えることが期待されます。違和感や装着時の不快感から使用をやめてしまう方もいますが、歯科医院で調整を行うことで改善するケースも少なくありません。無理に我慢するのではなく、相談しながら継続できる状態を整えることが、結果的にセラミックを長持ちさせることにつながります。
セラミック治療と併用する際の考え方
セラミック治療とマウスピースは、それぞれ単独で完結するものではなく、併用することで治療の安定性を高める関係にあります。セラミックは審美性や耐久性に優れた素材ですが、歯ぎしりがある方では強い力の影響を受けやすいため、治療後の管理が重要になります。その一環としてマウスピースが提案されることは、決して珍しいことではありません。
大切なのは、マウスピースの使用を「特別な人だけが必要なもの」と捉えないことです。歯ぎしり対策としてのマウスピースは、セラミックを守るための予防的な管理方法の一つと考えると理解しやすくなります。定期的な噛み合わせの確認や、マウスピースのすり減り具合のチェックを行いながら使用することで、セラミック治療をより安心して続けやすくなります。治療前にその役割や限界を理解しておくことが、納得のいく治療選択につながります。
歯ぎしりがある人が歯科医院で確認すべきポイント
歯ぎしりをどう診断・評価しているか
歯ぎしりや食いしばりは、本人の自覚がないまま続くことが多いため、歯科医院で「どのように評価しているか」を確認することが大切です。診断は、問診（起床時の顎のだるさ、頭痛、歯のしみ、家族からの指摘など）に加え、口腔内の所見から総合的に行われます。代表的なのは、歯のすり減り（咬耗）、歯のヒビや欠け、詰め物・被せ物の破損、舌や頬の噛み跡、噛む筋肉の緊張などです。
また、噛み合わせの偏りがあると力が一点に集中しやすく、セラミックが割れるリスクにも関わります。必要に応じて咬合のチェック、歯周組織や顎関節の評価、レントゲン等で歯根周囲の状態を確認することもあります。歯ぎしりは「ある／ない」だけでなく「程度」を見極めることが重要です。評価の根拠や説明が明確な医院ほど、治療計画も立てやすくなります。
素材や治療計画について十分な説明があるか
歯ぎしりがある方のセラミック治療では、素材の見た目だけでなく「力にどう耐える設計になっているか」が重要です。そのため、どの素材を選ぶのか、なぜその選択なのかを具体的に説明してもらえるかを確認しましょう。セラミックには種類があり、審美性を重視したもの、強度を重視したものなど特性が異なります。どれも万能ではないため、歯ぎしりの程度、治療部位（前歯・奥歯）、残存歯質、噛み合わせを踏まえて選択する必要があります。
また、形成（歯を削る量）や土台（コア）の考え方、接着（セメント）の種類、噛み合わせ調整の方針、マウスピースを併用する理由など、治療の流れが説明されているかも重要です。「割れる可能性がある」というリスクをどう捉え、どんな対策を取るのかまで含めて説明があると、納得した上で治療に進みやすくなります。
治療後のフォローやリスク説明の姿勢
セラミック治療は装着したら終わりではなく、治療後のフォローが長期安定に直結します。歯ぎしりがある方では、治療直後は問題がなくても、時間とともに噛み合わせが変化したり、マウスピースがすり減ったりして、負担のかかり方が変わることがあります。そのため、定期検診で咬合の変化、セラミックの微細な欠け、周囲の歯ぐきの状態、虫歯・歯周病リスクなどを確認し、必要に応じて調整していく体制があるかを確認しましょう。
また、リスク説明の姿勢も大切です。メリットだけでなく、歯ぎしりがある場合に起こり得るトラブル（欠ける・割れる・脱離など）と、その際の対応方針を事前に丁寧に説明してくれる医院は、治療後も相談しやすい傾向があります。不安を残したまま進めず、「どこまでが想定されるリスクで、どこまで対策できるのか」を共有できることが、安心につながります。
よくある疑問と不安を整理するQ&A
歯ぎしりが治らないとセラミックは意味がないのか
歯ぎしりがあると「治らない限りセラミックを入れても無駄ではないか」と感じる方は少なくありません。しかし、歯ぎしりは原因が複合的で、完全に止めることが難しいケースも多いのが現実です。そのため、歯ぎしりがある＝セラミック治療が意味を持たない、という考え方は必ずしも適切ではありません。
重要なのは、歯ぎしりの存在を前提にリスクを評価し、対策を組み合わせた上で治療を行うことです。噛み合わせの調整、素材選択、就寝時のマウスピース装着などを併用することで、セラミックを保護しながら使用できる可能性はあります。歯ぎしりを「ゼロにする」ことを目標にするのではなく、「負担をコントロールする」という視点で考えることで、現実的な治療選択が見えてきます。
割れた場合はどうなるのか、再治療は可能か
セラミックは強度の高い素材ですが、歯ぎしりや強い咬合力の影響で、欠けたり割れたりする可能性がゼロではありません。万が一割れた場合、その程度や位置によって対応は異なります。小さな欠けであれば研磨や調整で対応できることもありますが、大きな破損では再製作が必要になるケースもあります。
再治療が可能かどうかは、土台の歯（支台歯）の状態が大きく関係します。歯に亀裂や虫歯がなければ、再度セラミック治療を検討できる場合もあります。一方で、歯自体にダメージが及んでいる場合は、治療計画の見直しが必要になることもあります。こうしたリスクを理解した上で、マウスピースによる歯ぎしり対策や定期的なチェックを行うことが、トラブル時の選択肢を広げることにつながります。
歯ぎしり対策は一生続ける必要があるのか
歯ぎしり対策、とくにマウスピースの使用について「一生続けなければならないのか」と不安に思う方も多いでしょう。歯ぎしりは生活環境やストレス、年齢、噛み合わせの変化などによって強さが変わることがあり、必ずしも一生同じ状態が続くわけではありません。
ただし、歯ぎしりが確認されている間は、歯やセラミックを守る目的で対策を継続する意義があります。状況に応じて使用頻度を見直したり、噛み合わせの変化を確認したりすることで、負担を最小限に抑えることが可能です。歯ぎしり対策は「ずっと我慢して続けるもの」ではなく、口腔内の状態に合わせて調整していく管理の一部と考えると、心理的な負担も軽くなります。
自分の歯と向き合いながら、納得できる選択をするために
不安を抱えたまま治療を決めないことの大切さ
歯ぎしりがある中でセラミック治療を考えると、「割れるのでは」「高額なのにやり直しになったら」といった不安がつきまといます。こうした不安を抱えたまま治療を決めてしまうと、治療後に少しでも違和感が出たときに「やっぱり失敗だったのでは」と気持ちが揺れやすく、必要以上にストレスを感じてしまうことがあります。
セラミックは見た目や清掃性などの利点がある一方、歯ぎしり・食いしばりの影響で欠ける、割れる可能性がゼロではありません。だからこそ、メリットだけでなく、起こり得るリスクと対策（マウスピース、噛み合わせ調整、定期管理）を納得できるまで理解しておくことが大切です。疑問を遠慮して飲み込む必要はありません。治療前に不安を言葉にし、説明を受けた上で選択することが、結果的に「やってよかった」と思える判断につながります。
専門的な視点から相談することで見える選択肢
インターネットの情報は便利ですが、「歯ぎしりがあるならセラミックは危険」「マウスピースをすれば大丈夫」など、結論が極端になっていることもあります。実際には、歯ぎしりの強さ、噛み合わせの偏り、治療する部位、歯の残り方、歯周病の有無などで、リスクと対策の組み立ては大きく変わります。これを自分だけで正確に判断するのは難しいものです。
歯科医師に相談すると、歯のすり減りや亀裂の有無、噛む力のかかり方、セラミックの設計、素材の選択肢、必要なマウスピースの種類などを総合的に検討できます。場合によっては、セラミック以外の選択肢や、治療を急がず先に噛み合わせや歯周環境を整える提案が出ることもあります。専門的な視点が入ることで、「自分にとって現実的で納得できる道筋」が見えやすくなります。
まずは状況を正しく知ることが第一歩になる
歯ぎしり対策やセラミック治療で大切なのは、気合いや根性ではなく「自分の状況を正しく把握すること」です。歯ぎしりは自覚がないことも多く、症状が出て初めて気づくケースもあります。例えば、朝の顎の疲れ、歯のしみ、詰め物がよく外れる、歯の先が欠けやすいなどは、歯ぎしりが関係している可能性があります。
歯科医院では、歯の摩耗や噛み跡、被せ物の状態、噛み合わせのバランスなどから歯ぎしりの影響を推測し、必要に応じてマウスピースを含む対策を検討します。現時点で「セラミックが向いているのか」「どの程度のリスクがあり、どう対策できるのか」を具体化できるだけでも、不安は整理されやすくなります。まずは一度、現状を評価してもらうことが、納得できる選択へ進むための現実的な第一歩になります。
埼玉県大宮の再治療0%を追求した
審美歯科セラミック治療ガイド
監修：関口デンタルオフィス大宮
電話番号：048-652-1182
＊監修者
関口デンタルオフィス大宮
＊経歴
・2008年 日本大学歯学部卒業
日本大学歯学部臨床研修部入局
・2009年 日本大学歯学部補綴学第一講座入局
専修医
顎関節症科兼任
・2014年 同医局退局
関口デンタルオフィス開院
＊所属学会
＊スタディークラブ
・CIDアクティブメンバー（Center of Implant Dentistry）
