再治療を迷う方へ。歯を残すか、抜くかの判断を誤らないために
- 2026年2月20日
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目次
その一言で迷ってしまう。「抜歯したほうがいいかもしれません」と言われたときの戸惑い

治療を続けてきたからこそ生まれる「ここまで頑張ったのに」という気持ち
根管治療やその再治療を経験してきた患者様ほど、「ここまで時間もお金もかけて治療してきたのに、なぜ今になって抜歯という選択肢が出てくるのか」と強い戸惑いを感じやすくなります。何度も通院し、麻酔や処置に耐え、ようやく落ち着いたと思った歯に再び問題が起きたとき、「自分の努力は無駄だったのではないか」という気持ちが湧くことも少なくありません。
しかし、根管治療や再治療は、その時点で考え得る最善の「歯を残すための治療」として選択されてきたものであり、決して意味のない過程ではありません。歯の内部や根の先の状態は、時間の経過や噛み合わせ、体調の変化などによって変わることがあり、治療当初には予測しきれない経過をたどるケースもあります。
「ここまで頑張ったのに」と感じるのは、ご自身の歯を大切にしてきた証拠です。その思いを否定する必要はありません。一方で、これまでの治療経過を踏まえたうえで、今後の選択肢を冷静に整理していくことが、後悔しにくい判断につながります。
痛み・腫れ・再発を繰り返す不安と、決断を迫られるストレス
根管治療後にも痛みや腫れが引かない、あるいは一度落ち着いた症状が再発する状況が続くと、「また同じことを繰り返すのではないか」という不安が強くなります。再治療を行っても改善が限定的な場合、歯科医師から抜歯判断について説明を受けることもありますが、その場で即決を求められるように感じてしまい、大きな心理的ストレスになることもあります。
特に、仕事や家庭の事情で通院の負担が大きい方や、これ以上痛みを経験したくないと感じている方にとっては、「早く終わらせたい」という気持ちと「歯を残したい」という気持ちが複雑に絡み合います。この葛藤そのものが、判断を難しくしている原因とも言えます。
こうした不安を軽減するためには、なぜ再発しているのか、現在の歯の状態で考えられる治療の選択基準は何か、といった点を一つずつ理解することが重要です。情報が整理されることで、漠然とした不安は少しずつ現実的な判断材料へと変わっていきます。
「残せるなら残したい」と思うのは自然な感情
「できることなら自分の歯を残したい」と思うのは、多くの患者様に共通する自然な感情です。歯は単に噛むための道具ではなく、食事の楽しみや会話、表情、生活の質全体に関わる大切な存在です。そのため、抜歯という言葉に強い抵抗感を覚えるのは無理もありません。
歯科医療においても、歯を残すことは重要な価値とされており、根管治療や再治療はそのための手段として位置づけられています。ただし、すべてのケースで「残すこと」が最良の結果につながるわけではありません。感染の広がりや歯根の状態によっては、歯を残そうとすることで痛みや炎症を長引かせてしまう可能性もあります。
大切なのは、「残すか抜くか」という二択で自分を追い込まないことです。歯を残す可能性がどの程度あるのか、もし抜歯を選んだ場合にどのような治療の道筋があるのかを知ったうえで、納得して選択することが重要です。そのためにも、一人で抱え込まず、専門的な視点から状況を整理してもらうことが、次の一歩につながります。
「歯を抜く・残す」の判断が難しい理由を整理する

なぜ歯科医師の判断が分かれることがあるのか
歯を抜くか残すかについて、歯科医師の判断が分かれることは決して珍しいことではありません。その背景には、評価すべき要素が非常に多く、しかもそれぞれが単独で結論を導く決定打になりにくいという事情があります。歯根の長さや形態、ヒビや破折の有無、過去に行われた根管治療や再治療の内容、感染の広がり方、噛み合わせによる負荷など、複数の条件を総合的に見て判断する必要があります。
さらに、歯科医師の専門分野や臨床経験によって、重視する視点が異なることも判断の違いにつながります。歯を残す治療に多く携わってきた医師は保存の可能性を探る傾向があり、長期的な予後を重視する医師は抜歯判断を早めに提案することもあります。これは治療方針の優劣ではなく、「どこに重きを置くか」という選択基準の違いです。患者様にとっては混乱の原因になりますが、判断が分かれるのは歯科医療が白黒はっきりつけられる分野ではないことの表れとも言えます。
症状だけでは見えない、歯の内部・骨の状態
歯を抜く・残す判断が難しい理由として、症状と歯の実際の状態が一致しない点も大きな要因です。強い痛みや腫れがあれば問題が分かりやすい一方で、痛みがほとんどない状態でも、歯の内部や歯根の先、顎の骨では感染が静かに進行していることがあります。特に慢性的な感染では、体が炎症に慣れてしまい、症状として現れにくくなることもあります。
根管治療や再治療の判断では、歯の内部構造や骨の状態をどう評価するかが重要になりますが、これらは外から見ただけでは分かりません。そのため、患者様が感じている「痛くないから大丈夫」「違和感があるから残せない」といった感覚と、専門的な診断結果が食い違うことがあります。このギャップが、抜歯判断への納得を難しくし、歯を残すかどうかの選択をより複雑にしているのです。
再治療という選択肢が判断を複雑にする背景
根管治療後に問題が生じた場合、「再治療」という選択肢が存在することも、判断を難しくする大きな要因です。再治療は、歯を残すための重要な手段であり、適切に行われれば改善が期待できるケースもあります。一方で、すべての歯に再治療が有効とは限らず、歯根の状態や感染の範囲によっては、成功の見込みが低い場合もあります。
再治療を選ぶかどうかは、「歯を残す可能性」と「再発や長期化のリスク」を天秤にかける判断になります。この見極めには専門的な知識と経験が必要であり、歯科医師の判断が分かれることも少なくありません。また、患者様自身が「もう一度治療すれば残せるかもしれない」と期待する気持ちを持つのは自然なことですが、その期待が抜歯判断を受け入れにくくする要因になることもあります。再治療という選択肢があるからこそ、歯を抜く・残す判断は慎重になり、難しさが増しているのです。
まず知っておきたい基礎知識|根管治療と再治療の位置づけ

根管治療とは何を目的とした治療なのか
根管治療とは、むし歯が深く進行した場合や、過去の治療・外傷などによって歯の神経(歯髄)が細菌感染を起こした場合に行われる治療で、「歯を残す」ことを最大の目的としています。歯の内部には根管と呼ばれる非常に細く複雑な空間があり、そこに細菌が入り込むと、自然に治ることはほとんどありません。根管治療では、この感染源となっている神経や細菌を丁寧に取り除き、内部を洗浄・消毒したうえで薬剤を充填し、再感染を防ぐ環境を整えます。
見た目には小さなむし歯に見えても、内部では炎症が進行していることもあり、痛みの有無だけで治療の必要性を判断できない点が特徴です。根管治療は、抜歯判断に進む前に検討される代表的な保存治療であり、歯の寿命を左右する重要な治療と位置づけられています。歯科医療において「歯を残す」という考え方の根幹を担う治療であることを、まず理解しておくことが大切です。
再治療が必要になる主なケース
一度根管治療を行った歯でも、状況によっては再治療が必要になることがあります。主な理由の一つは、歯の根の中に細菌が再び侵入してしまうケースです。被せ物や詰め物が長年の使用で劣化し、目に見えない隙間から細菌が入り込むことがあります。また、根管は人それぞれ形が異なり、枝分かれしている部分や極端に細い部分では、初回治療時に細菌が残存してしまうこともあります。
さらに、噛み合わせの力が過度にかかることで歯根に負担がかかり、炎症が再燃するケースや、歯根にヒビが生じて感染が広がる場合もあります。こうした背景から、再治療は「特別なこと」ではなく、歯を残す選択肢を検討する過程の一部と捉える必要があります。抜歯判断に直結するものではなく、状態を見極めるための重要なステップと考えることが大切です。
「再治療=失敗」ではない理由
再治療が必要と聞くと、「前回の根管治療は失敗だったのではないか」と感じる方も少なくありません。しかし、再治療が行われること自体をもって、過去の治療が誤っていたと判断することは適切ではありません。歯の内部は非常に複雑で、治療当時には問題がなくても、時間の経過とともに環境が変化することがあります。
医療には常に限界と不確実性があり、その時点で得られる情報をもとに最善と考えられる治療が行われています。再治療は、歯を残す可能性を改めて検討するための前向きな選択肢であり、抜歯判断を急ぐ前に考慮されるべきプロセスです。重要なのは、再治療によって改善が見込める条件や、どの段階で歯を残すことが難しくなるのかという選択基準を理解することです。そうした説明を十分に受けたうえで判断することが、後悔の少ない治療選択につながります。
歯を残せるかどうかを左右する、重要な判断材料

歯根の状態とヒビ・破折の有無
歯を残せるかどうかを判断するうえで、最も重要な要素の一つが歯根の状態です。歯の表面だけを見ると問題がなさそうでも、歯根にヒビ(クラック)や破折が生じている場合、根管治療や再治療を行っても十分な改善が見込めないことがあります。特に歯根に縦方向のヒビが入っているケースでは、細菌が内部に侵入し続けるため、感染を完全に抑えることが難しくなります。
歯根の破折は、強い噛みしめや長年の噛み合わせの負担、過去の治療歴などが関係して起こることがあります。自覚症状がはっきりしない場合も多く、「治療しても痛みが繰り返される」「噛むと違和感が続く」といった経過から疑われることもあります。抜歯判断に進むかどうかは、歯を残す可能性と再発リスクを慎重に比較しながら、歯根の状態を正確に評価することが選択基準となります。
感染の広がりと顎の骨への影響
根管治療や再治療を検討する際には、感染がどの範囲まで広がっているかも重要な判断材料になります。歯の根の先に膿がたまっている場合や、炎症が顎の骨にまで及んでいる場合、歯を残すための治療が長期化することがあります。感染が局所的であれば再治療によって改善が期待できるケースもありますが、骨の吸収が進んでいる場合は、歯の支持力そのものが低下している可能性があります。
このような状態では、一時的に症状が落ち着いても、再び痛みや腫れを繰り返すリスクが高くなります。歯を残すことにこだわりすぎると、結果的に周囲の骨や隣の歯に悪影響を及ぼすこともあります。抜歯判断は「今の歯」だけでなく、顎の骨や口全体の健康を守る視点から行われるべきものであり、感染の広がりを正しく理解することが欠かせません。
噛み合わせや歯の役割(前歯・奥歯)の違い
歯を残すかどうかの判断には、その歯が口の中で果たしている役割も大きく関係します。前歯は見た目や発音に関わりやすく、奥歯は噛む力を支える重要な役割を担っています。特に奥歯は噛み合わせの力が強くかかるため、歯根に負担が集中しやすく、再治療後もトラブルが再発しやすい傾向があります。
一方で、噛み合わせ全体のバランスを考えると、無理に歯を残すことで他の歯に過剰な負担がかかる場合もあります。その歯を残すことで口全体の機能が安定するのか、それとも将来的なリスクを高めるのかを見極めることが重要です。抜歯判断は単独の歯だけで完結する問題ではなく、噛み合わせや歯列全体を含めた視点で行われる選択基準であることを理解しておくことが大切です。
「歯を残す」という選択が検討できる条件とは

再根管治療が現実的に考えられるケース
再根管治療が現実的な選択肢として検討できるのは、歯根に致命的な破折や大きなヒビがなく、感染が一定範囲にとどまっている場合です。過去の根管治療で、細菌が残存してしまった可能性がある場合や、被せ物の劣化によって再感染が起きたケースでは、再治療によって改善が見込めることがあります。特に、歯根の形態が比較的単純で、再度内部の清掃・消毒が行いやすい場合は、歯を残す可能性が高まります。
一方で、再根管治療は万能ではありません。治療回数や期間が延びることもあり、症状が完全に消失しないケースも存在します。そのため、抜歯判断を先送りするための選択ではなく、「歯を残す」ための現実的な選択基準に基づいて検討することが重要です。歯科医師から、成功の見込みや限界について十分な説明を受けたうえで判断することが、後悔の少ない選択につながります。
外科的アプローチが選択肢に入る場合
通常の再根管治療で十分な改善が見込めない場合でも、条件によっては外科的アプローチが歯を残すための選択肢となることがあります。代表的なのは、歯根の先端部分に限局した感染があるケースで、歯の内部からの治療だけでは対応が難しい場合です。このような場合、歯根の先端を外科的に処置し、感染源を直接取り除く方法が検討されることがあります。
ただし、外科的アプローチはすべての患者様に適応できるわけではなく、歯の位置や骨の状態、全身の健康状態などを総合的に考慮する必要があります。また、処置後の経過観察も重要で、必ずしも長期的な安定が保証されるものではありません。抜歯判断との比較の中で、歯を残すことによるメリットとリスクを丁寧に整理することが求められます。
長期的な安定を見据えた判断の視点
「歯を残す」という選択を検討する際には、目先の症状改善だけでなく、長期的な安定性を見据えた視点が欠かせません。一時的に痛みが落ち着いても、再発を繰り返す可能性が高い状態であれば、結果的に治療の負担が増えてしまうこともあります。歯を残すことで、噛み合わせ全体にどのような影響があるのか、将来的な抜歯判断が必要になる可能性はどの程度か、といった点を整理することが重要です。
長期的な視点では、「歯を残すこと」そのものが目的ではなく、口全体の健康と生活の質を維持することが目標となります。そのため、歯を残す選択基準は一人ひとり異なります。専門的な診断と説明を受けたうえで、自身の価値観や生活背景も踏まえて判断することが、納得のいく治療選択につながります。
それでも抜歯を考えたほうがよい場合がある理由

再治療を繰り返すことで起こりうるリスク
根管治療や再治療は「歯を残す」ための大切な選択肢ですが、何度も再治療を繰り返すことには一定のリスクが伴います。再治療のたびに歯の内部を清掃・拡大する必要があり、その過程で歯質が少しずつ削られていくため、歯自体の強度が低下してしまうことがあります。歯が脆くなると、噛む力に耐えきれず、歯根破折を起こす可能性も高まります。
また、感染が完全にコントロールできない状態で治療を繰り返すと、痛みや腫れを何度も経験することになり、身体的・精神的な負担も大きくなります。抜歯判断は決して「治療を諦めること」ではなく、これ以上リスクを増やさないための選択基準として提示される場合があります。歯を残す可能性と、再治療による負担や再発リスクを冷静に比較することが重要です。
周囲の歯や全体の噛み合わせへの影響
一本の歯を残すかどうかの判断は、その歯だけの問題にとどまりません。再治療を繰り返しても安定しない歯を無理に残そうとすると、噛み合わせのバランスが崩れ、周囲の歯に過剰な負担がかかることがあります。特に奥歯の場合、噛む力が集中しやすいため、隣接する歯や反対側の歯に影響が及ぶことも少なくありません。
噛み合わせの乱れは、他の歯のトラブルや顎の違和感につながる可能性もあります。そのため、抜歯判断は「その歯を残せるか」だけでなく、「残すことで口全体にどのような影響が出るか」という視点で考える必要があります。歯を残すことが、結果的に全体の健康を損なう可能性がある場合には、別の選択肢を検討することが合理的とされることもあります。
抜歯後の治療選択肢を含めて考える重要性
抜歯という言葉には、不安や喪失感が伴いやすいものですが、抜歯後にはさまざまな治療選択肢が用意されています。歯を失ったままにするのではなく、噛む機能や見た目を補うための方法が検討されます。抜歯判断を考える際には、「歯を失うこと」だけに目を向けるのではなく、その後の治療計画まで含めて考えることが大切です。
抜歯後の選択肢を知ることで、「抜歯=終わり」という印象は和らぎます。歯を残すことに固執しすぎて治療が長期化するよりも、将来的な安定や生活の質を重視した判断が適している場合もあります。専門家と相談しながら、抜歯判断を含めた全体像を理解することが、納得のいく選択につながります。
「今すぐ決めなくていい」判断を誤らないための考え方

一度立ち止まって情報を整理する意味
抜歯判断を示されたとき、多くの患者様は「早く決めなければならない」と感じがちです。しかし、緊急性が高くない場合には、一度立ち止まって情報を整理する時間を持つことが、判断を誤らないために重要です。根管治療や再治療の経過、現在の歯の状態、考えられる選択肢とその利点・限界を整理することで、感情に引きずられにくくなります。痛みや不安が強いと、短絡的に結論を出してしまうこともありますが、歯を残す可能性や抜歯判断の選択基準は一人ひとり異なります。説明を受けた内容を書き留めたり、分からない点を明確にしたりすることで、自分にとって納得できる判断に近づきます。
複数の視点から説明を受けることの価値
歯を残すか抜くかの判断は、専門的な要素が多く、歯科医師によって重視する視点が異なる場合もあります。そのため、可能であれば複数の視点から説明を受けることには大きな価値があります。別の歯科医師の意見を聞くことで、同じ状態でも異なる選択肢や考え方があることに気づける場合があります。これは判断を迷わせるためではなく、自分の状況をより立体的に理解するための手段です。再治療が現実的なのか、抜歯判断が妥当なのかを比較することで、歯を残す選択基準や限界が明確になります。複数の説明を踏まえたうえで決めた選択は、結果に対する納得感にもつながります。
短期的な症状と長期的な予後を分けて考える
判断を誤らないためには、目の前の症状と、将来の見通しを分けて考える視点が欠かせません。例えば、再治療によって一時的に痛みが落ち着いたとしても、再発の可能性が高い状態であれば、長期的には別の問題が生じることもあります。逆に、今は違和感が強くても、歯を残すことで将来的な噛み合わせや口全体の安定につながる場合もあります。抜歯判断は「今つらいかどうか」だけでなく、「数年後にどのような状態を目指すのか」という視点で考えることが重要です。短期と長期を切り分けて整理することで、感情に流されにくい、冷静な判断がしやすくなります。
後悔しにくい選択のために、歯科医院で確認したいポイント

診断の根拠をどこまで説明してもらえるか
歯を残すか、抜歯を選ぶかという判断に納得できるかどうかは、診断の「結論」よりも「根拠」をどこまで理解できているかに大きく左右されます。根管治療や再治療、抜歯判断は、痛みの有無といった主観的な症状だけで決まるものではありません。歯根の状態、感染の範囲、骨の吸収の程度、噛み合わせの影響など、複数の医学的要素を総合して判断されます。そのため、歯科医院では「なぜ歯を残すのが難しいのか」「なぜ再治療が現実的なのか」といった理由を、検査結果や画像をもとに説明してもらえるかが重要です。専門用語が多くても、質問すれば噛み砕いて説明してもらえるかどうかが、信頼できる判断材料になります。
治療のメリットだけでなく限界も共有されているか
後悔しにくい選択をするためには、治療の良い面だけでなく、その限界やリスクについても正しく理解しておく必要があります。歯を残す治療は魅力的に聞こえる一方で、再治療を行っても長期的な安定が得られない場合や、将来的に抜歯判断が避けられなくなるケースも存在します。重要なのは、「この治療で何が期待できて、何が難しいのか」を率直に共有してもらえているかどうかです。限界についての説明がないまま治療を選択すると、結果が思わしくなかったときに強い後悔を感じやすくなります。歯を残すかどうかの選択基準を明確にするためにも、現実的な見通しを含めた説明が行われているかを確認しましょう。
通院回数・治療期間・将来的な見通しの説明
治療内容そのものだけでなく、通院回数や治療期間、将来的な見通しについて説明を受けているかも、判断を左右する重要なポイントです。根管治療や再治療は、複数回の通院が必要になることが多く、症状や経過によって期間が延びる場合もあります。仕事や家庭との両立を考えると、こうした負担を事前に把握しておくことは欠かせません。また、治療後にどの程度安定する可能性があるのか、将来的に再治療や抜歯判断が必要になる可能性がどのくらいあるのか、といった長期的な見通しも重要です。短期的な治療完了だけでなく、その後の生活まで含めた説明があることで、より納得のいく選択がしやすくなります。
よくある疑問に答える|歯を残すか迷う方のFAQ

再治療は何回までできるのか
再治療に「何回までなら可能」という明確な回数制限はありません。ただし、回数を重ねれば重ねるほど成功率が下がる傾向があるのは事実です。根管治療や再治療では、歯の内部を清掃・消毒する過程で歯質が少しずつ失われ、歯そのものの強度が低下していきます。その結果、歯根破折のリスクが高まったり、再感染が起こりやすくなったりします。
そのため、再治療を検討する際は「何回できるか」ではなく、「今の状態で歯を残す現実的な可能性がどの程度あるか」という選択基準で考えることが重要です。歯根の状態や感染の範囲によっては、早い段階で抜歯判断が妥当とされることもあります。回数ではなく、予後を重視した判断が求められます。
痛みがなくても抜歯を勧められることはあるのか
痛みがないにもかかわらず抜歯を勧められると、戸惑いや不信感を覚える方も少なくありません。しかし、歯の内部や歯根の先で感染が進行していても、必ずしも強い痛みが出るとは限りません。慢性的な炎症の場合、症状が落ち着いているように感じられても、顎の骨の吸収が進んでいるケースもあります。
このような状態では、根管治療や再治療を行っても歯を残すメリットが少なく、将来的なトラブルを防ぐために抜歯判断が提案されることがあります。抜歯の提案は「今の症状」ではなく、「今後のリスク」を踏まえた選択基準に基づいて行われる場合がある、という点を理解しておくことが大切です。
判断を先延ばしにするリスクはあるのか
歯を残すか抜くかの判断に迷い、決断を先延ばしにしたくなる気持ちは自然なものです。ただし、状態によっては先延ばしにすることでリスクが高まる場合もあります。感染が進行している歯を放置すると、顎の骨への影響が広がり、結果的に治療の選択肢が狭まる可能性があります。
一方で、すべてのケースで「すぐに決めなければならない」わけではありません。重要なのは、放置による影響がどの程度あるのかを専門家に確認し、判断までの猶予があるのかを把握することです。先延ばし自体が問題なのではなく、状況を理解しないまま何もせずに時間が過ぎてしまうことがリスクになります。
まとめ|「抜く・残す」ではなく「納得して選ぶ」ために

正しい判断は、一人ひとりの状況によって異なる
歯を残すか、抜歯を選ぶかという判断において、「この選択が必ず正しい」と言い切れる基準は存在しません。歯根の状態、感染の広がり方、過去に行われた根管治療や再治療の内容、噛み合わせの力のかかり方、さらには年齢や生活環境まで、判断に影響する要素は多岐にわたります。同じ「再治療が必要」と言われたケースであっても、歯を残す現実的な可能性や、その後の安定性は人によって大きく異なります。
そのため、「歯を残すのが良い」「抜歯は避けるべき」といった一般論だけで結論を出すことは、かえって後悔につながることがあります。大切なのは、ご自身の歯の状態を正しく理解し、どの選択が今後の生活や口腔内全体の健康にとって無理がないのかを考えることです。判断の基準は他人と比べるものではなく、自分自身の状況に即して考える必要があります。
迷っている今こそ、専門家に相談する価値がある
抜歯判断に迷いが生じているとき、「自分の決断力が足りないのでは」と感じてしまう方もいます。しかし、迷いがあるということは、情報や理解がまだ十分に整理されていない状態であり、決して悪いことではありません。根管治療や再治療、歯を残す可能性や限界は専門的な判断が必要であり、一人で考え続けても明確な答えが出ないことも多いものです。
このようなときこそ、歯科医師に相談する価値があります。専門家に状況を説明してもらうことで、漠然とした不安が具体的な判断材料へと変わっていきます。疑問点や不安を率直に伝え、納得できるまで説明を受けることは、治療を受ける側の正当な権利です。迷っている今の段階で相談することが、結果的に後悔しにくい選択につながります。
将来を見据えた選択が、安心につながる
治療の選択は、目の前の痛みや不安を解消することだけが目的ではありません。その歯とどのくらい付き合っていくのか、数年後・十数年後にどのような状態でありたいのかを考えることが重要です。歯を残す選択が、将来的に安定した噛み合わせや生活の質の維持につながる場合もあれば、抜歯を選ぶことで長期的なトラブルや再治療の繰り返しを避けられる場合もあります。
大切なのは、「抜く・残す」という言葉だけにとらわれず、その選択を自分自身が理解し、納得できているかどうかです。正しい知識を得て、専門家と相談しながら将来を見据えた判断をすることで、不安は少しずつ安心へと変わっていきます。納得して選んだ治療は、その後の経過に向き合う心の支えにもなります。
埼玉県大宮の再治療0%を追求した
審美歯科セラミック治療ガイド
監修:関口デンタルオフィス大宮
電話番号:048-652-1182
*監修者
関口デンタルオフィス大宮
*経歴
・2008年 日本大学歯学部卒業
日本大学歯学部臨床研修部入局
・2009年 日本大学歯学部補綴学第一講座入局
専修医
顎関節症科兼任
・2014年 同医局退局
関口デンタルオフィス開院
*所属学会
*スタディークラブ
・CIDアクティブメンバー(Center of Implant Dentistry)






