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【第2回】日本の保険診療におけるデジタル技術の制約と課題|さいたま市北区宮原の歯医者・歯科で審美インプラント治療|関口デンタルオフィス埼玉

【第2回】日本の保険診療におけるデジタル技術の制約と課題

こんにちは!院長の関口です。今回は

デジタル技術が歯科医療の現場に革新をもたらしている一方で、日本の保険診療におけるデジタル技術の導入には多くの制約があります。世界的には口腔内スキャナーやCAD/CAM、AI診断が普及しつつありますが、日本では保険制度の枠組みの影響でこれらの技術の活用が制限されているのが現状です。本記事では、日本の保険診療におけるデジタル技術の制約と、それに伴う課題について詳しく解説します。


1. 日本の保険診療におけるデジタル技術の現状

日本の歯科医療は、国民皆保険制度のもとで提供されており、多くの治療が保険適用内で受けられます。しかし、保険診療ではデジタル技術の導入に関して厳しい制限があり、最先端技術の恩恵を受ける機会が限られています。

1-1. CAD/CAMの制限

CAD/CAM技術は、デジタルデータを基に補綴物を製作する技術で、世界的には広く普及しています。しかし、日本の保険診療ではCAD/CAMクラウンの適用範囲が限定されており、使用できる材料や適応部位に制約があります。

  • 適用部位の制限: CAD/CAMクラウンは現在、歯の欠損状態などによっては治療が受けられないなどの制限があり、適応にならない場合があります。
  • 材料の制約: 保険適用される材料は主にハイブリッドセラミックに限られており、耐久性や審美性の面で選択肢が限られます。
  • インレーへの適用の問題: 現在、日本の保険診療ではインレーのデジタル印象のみが適用されていますが、実際にはインレーはCADで作成するのがクラウンに比べて不得意とされています。インレーの形状が複雑であり、適合性の面で不適となりやすいからです。なぜインレーだけデジタル印象が適応になったのか謎です💦

1-2. 口腔内スキャナーの普及の遅れ

口腔内スキャナー(IOS)は、従来の印象材を使用した型取りよりも精密かつ快適なデジタル印象採得を可能にします。しかし、日本の保険診療では未だに従来の印象材による型取りが主流であり、デジタル印象の保険適用は進んでいません。

  • コスト負担: 口腔内スキャナーの導入には高額な機器投資が必要であり、保険点数が低いために経済的なメリットが少ないことが挙げられます。

1-3. AI診断技術の導入の遅れ

AIを活用した診断技術は、世界ではすでに歯科用CTやレントゲンの解析に応用され、むし歯や歯周病の診断を補助する役割を果たしています。しかし、日本では保険診療にAI診断技術が導入されておらず、現場での活用が進んでいません。

  • 診断基準の課題: AIによる診断は精度が高いものの、既存の診断基準との整合性が課題とされています。
  • 保険点数の未設定: AI診断の導入に対する明確な保険点数がなく、歯科医師が診断を行う従来の方法が前提となっています。

2. 日本におけるデジタル技術導入の課題

2-1. 設備投資コストと保険点数の問題

デジタル技術の導入には高額な設備投資が必要ですが、現行の保険点数では十分なコスト回収が難しい状況にあります。

  • 口腔内スキャナーやCAD/CAM機器等の導入には高額なコストがかかります。
  • 保険点数が低く設定されているため、導入コストを回収するまでに長い時間がかかります。

2-2. 法規制と認可の遅れ

日本では新しい医療技術が保険適用されるまでに時間がかかる傾向があります。特に、デジタル技術の導入には厚生労働省の認可が必要であり、新しい機器やソフトウェアの認可プロセスが遅れがちです。

  • 承認プロセスの長期化: 海外では既に普及している技術でも、日本では認可が遅れ、実用化までに時間がかかります。
  • 医療行為の定義: AI診断やデジタル印象など、新技術が従来の診療行為として認められにくい現状があります。

3. まとめ

日本の保険診療におけるデジタル技術の普及には、多くの制約が存在しています。特に、インレーのデジタル印象のみに適用が限られているものの、実際にはCADによるインレー製作の適合性の課題が指摘されており、適用範囲の見直しが必要です。さらに、CAD/CAMクラウンの適用範囲の制限、口腔内スキャナー等を用いた診査・診断での活用など、世界と比較して保険診療におけるデジタル化が進みにくい環境がとなっています。

当医院ではデジタル技術を使用した治療に積極的に取り組んでおり、高度な歯科治療を患者様にご提供できるように心がけています。
特にデジタル技術は、全体的な口腔内の崩壊が進んでしまっている方に大きな恩恵がありますので、そのような状態になってしまったけれども、しっかりと治療していきたいとお考えの方は是非ご連絡いただけたらと思っております。

今月もお読みいただきありがとうございました。


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