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こんにちは!院長の関口です。
今月は歯周病と認知症の関係性について少し詳しくお話ししていきます。
厚生労働省のHPによると2025年には認知症の高齢者がさらに増加することが言われています。しかしながら、『発症を5年遅らせることができればアルツハイマー型認知症の患者数は半減できる』という推算もあるため、お口の中のケアがより一層注目されてきています。
近年歯周病と認知症との関連性を裏付ける臨床研究が多くなされてきている中で、Pg菌と言われる歯周病を引き起こすの代表的な菌がおこす炎症によって、アミロイドβと言われるアルツハイマー型の認知症の原因物質が体内に増えることや、それに加えアミロイドβを脳内へとPg菌が誘導していることまで明らかになってきました。
歯の根元や歯周ポケットのプラークの中に住む歯周病菌が歯肉や歯槽骨に影響を及ぼすことはよく知られていますが、なぜ脳にまで影響を及ぼすのでしょうか?
歯周病菌は、歯肉の炎症でできた粘膜の破れ目を入り口にして、血管の中に侵入をし血流に乗って体にも自由に入り込んでいます。
特にPg菌という歯周病菌は腫れた歯肉からの滲出液や血液が大好物です。放っておくと、Pg菌に餌を与えているようなものなのです。
そして、Pg菌が多く血管内に入り込むと、それを倒すために免疫細胞が戦い始めますが、菌の量が多いと免疫細胞の防御網をくぐり抜け体内に巡る上、この必死に戦う免疫細胞たちの過剰反応が、老人斑アミロイドβの増加を引き起こします。
菌に応戦する免疫細胞の過剰反応により『カテプシンB』というタンパク質分解酵素がたくさん出てきます。
本来は不要なタンパク質を除去するためのものですが、過剰に存在することで免疫細胞と周りの細胞を傷つけ、その結果老人斑アミロイドベータが盛んに作られてしまいます。
実際アミロイドβが脳内に入り込んでたまることで認知症になりやすくなるわけですが、本来脳は血管中の異物を脳内に通さない(血液脳関門といいます)ようにできています。
しかし歯周病菌のPg菌は歯肉の血管から侵入し、頭部に到達したのち、血液脳関門を構成する血管壁の細胞にくっつき、カテプシンBを作り出します。そのカテプシンBは血液脳関門を構成する血管壁の細胞にアミロイドβを脳内へ送り込む受容体を増やすことになります。この受容体から脳内に入り込めるようになったアミロイドβが少しづつ脳内に溜まり、徐々に神経細胞を傷つけ脳を萎縮させ、アルツハイマー型の認知症を引き起こしてしまうことが言われています。
いかがでしたでしょうか?
いまだ日本ではどうしても歯の健康に関しては軽視している方が多いように感じます。
皆様正しい知識を身につけて、是非先進国らしい恥ずかしくないお口の中の健康を維持していきましょう!
今月もお読みいただきありがとうございました。