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保険改定から予測できる日本の歯科治療の危機~Part 2~|さいたま市北区宮原の歯医者・歯科で審美インプラント治療|関口デンタルオフィス埼玉

保険改定から予測できる日本の歯科治療の危機~Part 2~

こんにちは!院長の関口です。今回は前回の続きといたしまして、今年の6月から適応範囲が広がったCAD CADの詰め物・被せ物についてお話ししていきます。

 

まず誤解してはいけないのは、CAD CAMというのは、あくまで詰め物などの作成の仕方を指します。したがって、インターネットなどで、CAD CAMインレー・CAD CAM冠保険適応と記載されているのは、CAD CAMで作成されたプラスチックと一部セラミックを混ぜた硬質レジン系の材料を使用したものを指すため注意が必要です。

それでは、ここからは保険で使用されるCAD CAMインレーや冠の材料(硬質レジン系ハイブリッドセラミックス)についてのお話をしていきます。

ハイブリッドセラミックスの歴史と特徴

1. ハイブリッドセラミックスの歴史

ハイブリッドセラミックスは、歯科修復材料として1990年代から開発され、2000年代初頭に広く使用されるようになりました。当初は、従来のセラミックやレジンに代わる画期的な材料として注目されました。開発の背景には、以下のようなニーズがありました。

 

  • 審美性の向上: 金属クラウンに代わる白い修復材料を求める声が高まっていました。
  • 柔軟性の確保: セラミックのような高強度材料は割れやすいという課題があったため、適度な柔軟性を持つ材料が必要とされました。→現在ではセラミックの材質や接着操作・削り方などが研究され、割れやすいという欠点は改善されています。
  • 加工性の向上: CAD/CAM技術が普及し始めたことで、デジタル技術と組み合わせて効率的に加工できる材料が求められていました。

ハイブリッドセラミックスは、セラミック粒子を樹脂マトリックスで包み込んだ複合材料として設計され、セラミックの強度とレジンの柔軟性を併せ持つことを目指しました。その結果、審美性・加工性・耐久性のバランスが取れた材料として、一時期は歯科業界で広く普及しました。

2. 世界的な使用と衰退の経緯

ハイブリッドセラミックスは、特に2000年代初頭において最終補綴材料として多くの国で使用されました。しかし、2010年代以降、新しい材料の開発が進み、以下の理由から徐々に使用が減少しました。

  • 耐久性の限界: 摩耗や変色が起こりやすく、長期使用には適さないという課題が浮き彫りになりました。
  • 審美性の劣化: オールセラミックスやジルコニアなど、より優れた審美性を持つ材料が登場したことで、使用頻度が減少しました。

3. ハイブリッドセラミックスの特徴

ハイブリッドセラミックスの主な特徴を以下にまとめます。

(1) 材料構造

ハイブリッドセラミックスは、セラミック(ガラスや酸化アルミニウムなど)の微粒子を樹脂(レジン)で結合した複合材料です。この構造により、セラミックの硬さとレジンの柔軟性を兼ね備えることが期待されました。

  • セラミック部分: 耐久性や審美性を担う。
  • レジン部分: 柔軟性と衝撃吸収性を提供。

ハイブリッドセラミックスは、CAD/CAMシステムを使用して容易に加工できるため、製作プロセスが効率化されました。

(3) 審美性

ハイブリッドセラミックスは自然な歯の色調を再現できる点が特徴です。ただし、セラミックに比べて透明感や輝きが劣り、長期使用による変色が問題となる場合があります。

(4) 耐久性

初期の期待に反して、ハイブリッドセラミックスは摩耗や割れが発生しやすく、特に

強い咬合力がかかる部位での使用には制限があります。そのため、現在では長期的な補綴材料としての適性が疑問視されています

(5) 接着性

ハイブリッドセラミックスは、接着面が時間の経過とともに劣化することが報告されています。この点も長期的な使用を難しくしている要因の一つです。接着が悪いと脱離や二次的な虫歯になる可能性が高まります。

4. ハイブリッドセラミックスの利点と問題点

利点
  • コストの低さ: オールセラミックスやジルコニアに比べて材料費が低く、経済的なため日本では保険適応拡大したと考えます。
  • 加工性の良さ: CAD/CAMシステムでの加工が容易になりました。技工士さんたちは金属冠作成で様々な工程が必要でしたが、それが簡便化されました。しかし、加工機の購入のコストが必要なため、全ての技工所に設備が備わっているわけではありません。
問題点
  • 耐久性の不足: 摩耗や破損が比較的早期に発生しやすい。
  • 審美性の限界: 透明感や色調の変化により、特に前歯部での使用には制限がある。
  • 接着の問題: 接着部の劣化が歯の寿命に影響する可能性がある。

5. 現在の使用状況

現在、世界的にはハイブリッドセラミックスは一部の地域やケースで使用されていますが、最終補綴装置としての役割は縮小しています。主な使用用途としては以下の通りです。

  • 短期間の補綴: 仮歯や一時的な修復物として。
  • 特定の用途: 咬合力が比較的弱い部位や審美性がそれほど重視されない部位での使用。

6. ハイブリッドセラミックスの将来

現在の歯科材料の進化を考えると、ハイブリッドセラミックスが最終補綴装置として再び主流になる可能性は低いと考えられます。しかし、日本では約15年前に廃れていったハイブリッドセラミックスの治療がより反映していく形となります💦

世界ではもう使用する場合、ほとんど仮歯として使用する程度になっているものが最終的な歯として使われます。

日々、様々な歯科医師と意見を交換しますが、皆さんハイブリッドセラミックが使用されたのちに起こる噛み合わせの変化と低下、それに伴う天然歯の移動により、その後の治療が難しくなってしまうことを危惧しています。

下の写真のように臼歯部に柔らかい材料を広範囲に詰めていくことは、かなりのリスクがあると考えます。

是非、今回お読みいただいた方には、治療のメリット・デメリットをご理解したのちに、治療のご選択をしていただけたらと思っております。

今月もお読みいただき誠に有難うございました。

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