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保険改定から予測できる日本の歯科治療の危機~Part 1~|さいたま市北区宮原の歯医者・歯科で審美インプラント治療|関口デンタルオフィス埼玉

保険改定から予測できる日本の歯科治療の危機~Part 1~

こんにちは、院長の関口です。

今年6月に保険診療の改定が行われ、被せ物や詰め物の治療に大きな影響を及ぼすことが考えられます。今月から数回にわたり、保険診療の実態についてお話ししていきたいと思います。内容が少し深くなる部分もあるため、お読みいただく中で不快に感じられることもあるかもしれませんが、患者様の口腔内を健康に保つためにお伝えする必要があると考えております。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

まず、今年6月の保険改定では、メタルクラウンやインレーの保険点数が減少しました。その結果、歯科医院がCAD CAM冠(ハイブリッドレジン)の使用を推奨される状況が生まれています。金属を使用しないことでアレルギーのリスクや審美性の問題はある程度解消されますが、すべてがプラス面とは限りません。私はむしろ、メタルクラウンよりも問題が発生しやすくなる可能性があると考えています。

今回の第一回目では、なぜCAD CAM冠が推奨されるようになったのか、その背景についてご説明します。

「金属クラウンの裏側:材料費と保険治療の真実」

日本では、多くの歯科治療が保険の対象となっており、患者様にとって手頃な治療が受けられることが魅力です。その中でも、金属クラウン(被せ物)は広く使用されてきました。しかし、近年の保険改定により、金属クラウンの保険点数が減少し、2024年の改定ではこの傾向が一層顕著になっています。

まず、金属クラウンに使用される「メタル」について考えてみましょう。クラウンの材料には、金やパラジウムといった貴金属が一般的に使われますが、これらは国際市場の影響を受けやすく、価格が大きく変動します。

現在では、貴金属の価格が大幅に上昇し、1グラムあたり3,000円〜3,500円となっています。金属の価格は常に変動しており、過去と比べても変動率が大きくなっています。しかし、保険診療では価格が上がったとしても診療報酬がすぐに改定されることはなく、医院がこの差額を吸収しなければならない状況です。

例えば、金属クラウン1本に使われる金属量は、小臼歯で約3グラム、大臼歯で約4グラムです。これに基づく材料費は、小臼歯で約9,000円〜10,500円、大臼歯で12,000円〜14,000円程度かかります。さらに、クラウン作成には技工料が平均して3,000円ほどかかりますので、クラウン製作にかかる諸経費だけで、小臼歯では12,000円〜13,500円、大臼歯では15,000円〜17,000円程度となります。

2024年の保険改定では、金属クラウンの保険報酬は小臼歯で13,320円、大臼歯で15,950円となっていますが、これだけでは制作費を下回るか、ほぼ利益がない状態です。さらに、滅菌にかかる費用や人件費、機材費、治療に要する時間を考慮すると、赤字になることが多く存在します。

また、こうした治療は日常的に行われるものであり、メタルクラウンの治療を続けることは、歯科医院の経営にとって厳しいものとなります。このような背景から、メタルクラウンが禁止されたわけではありませんが、事実上、医院がメタルクラウンを提供しづらい環境となり、CAD CAM冠やインレーといった材料を使用した治療が主流になると考えています。

いかがでしたでしょうか?

保険診療の裏側のほんの少しをお話しいたしました。

次回は、保険診療で使用されるCAD CAMクラウンやインレーについて詳しくお話しいたします。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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